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経理代行・記帳代行

経理代行 完全ガイド:業務範囲・費用相場・選び方【2026年版】

執筆: 4649編集部

経理代行とは、記帳・支払・請求書発行・経費精算・月次決算といった経理業務全般を、外部の専門会社に委託するサービスです。経理担当者を雇う代わりに「経理という機能」ごと外に持つ、と考えるとわかりやすいでしょう。

任せられる業務と任せられない業務の線引きから、費用相場、会社選び、導入の流れと失敗パターンまで——経理の外注を検討し始めた段階で必要な情報を、この 1 本に集約しました。

経理代行とは:記帳代行との違い

まず言葉の整理です。似た名前のサービスに「記帳代行」がありますが、両者は任せられる範囲が異なります。

記帳代行が「作業の外注」、経理代行が「機能の外注」です。詳しい違いと使い分けは記帳代行と経理代行の違いで解説しているので、ここでは経理代行そのものを掘り下げます。

任せられる業務範囲:どこまで外注できるか

経理代行の対応範囲は会社によって幅がありますが、典型的には次の業務が対象になります。

業務内容の例
記帳証憑からの仕訳起票、会計ソフトへの入力
支払業務請求書の受領・内容確認・振込データ作成
請求業務請求書の発行・入金消込・未入金の督促連絡
経費精算申請と領収書の突合、経費規程との照合
給与計算勤怠集計・給与計算・給与明細の発行
月次決算残高照合・調整仕訳・月次レポート作成
年次決算の補助決算整理仕訳の起票、税理士へ渡す資料の整備

全部をまとめて任せる必要はありません。「記帳と支払だけ」「経費精算のチェックだけ」のように業務単位で切り出して依頼できるのが普通で、実際には一部委託から始めて範囲を広げていく会社が多数派です。

任せられない業務:士業の独占業務との線引き

一方で、法律上、経理代行会社には任せられない業務があります。ここを混同すると発注後にトラブルになるので、先に押さえておいてください。

つまり実務の分担は「日々の経理実務=経理代行、税務申告=税理士、社保手続き=社労士」という三層になります。経理代行の導入は顧問税理士との契約を解約する話ではなく、役割分担の再設計です。

「丸投げ」の現実的な線引き

任せられる業務の中でも、すべてを社外に出すべきではないものがあります。実務では次の 3 つを社内に残す設計が定石です。

「どこまで丸投げできるか」の答えは、「実行と承認を分け、承認だけ社内に残す」です。ここさえ設計すれば、日々の作業はほぼすべて外に出せます。

外注しても自社に残る義務:帳簿・証憑の保存

もう 1 つ忘れられがちな論点として、帳簿や証憑の保存義務は外注しても自社に残ります。法人は帳簿書類を原則 7 年間(青色申告で欠損金額が生じた事業年度は 10 年間)保存する義務があります(国税庁タックスアンサー No.5930「帳簿書類等の保存期間」)。

また、電子帳簿保存法により電子取引データ(メールで受け取った請求書 PDF など)は電子のまま保存する必要があります(国税庁 電子帳簿保存法特設サイト)。経理代行へ証憑をスキャン・チャットで送る運用にする場合、「原本とデータをどちらが・どこに・どう保存するか」を契約時に決めておかないと、税務調査のときに慌てることになります。

法人と個人事業主で使い方はどう違うか

同じ経理代行でも、法人と個人事業主では頼むべき範囲が変わります。

個人事業主・小規模法人(月の仕訳が 100 前後まで) は、まず記帳代行だけで足りるケースが多いはずです。請求書の発行枚数も支払件数も少ないうちは、外注する「業務」そのものが少ないからです。確定申告・法人税申告は税理士(または自分)で行い、日々の入力だけ外に出す構成が費用対効果に優れます。

成長中の法人(従業員 10 名前後〜) になると、支払・請求・経費精算・給与計算の事務量が急に増えます。経理担当を 1 人採用するか、経理代行で機能ごと外に持つかの分岐点はこのあたりです。月次決算を組んで経営数字を見たい段階なら、月次決算まで含めた委託を検討します。

複数部門・複数拠点の法人では、経費精算のチェックや支払業務の統制(承認フローの設計)が主戦場になります。作業の外注というより、内部統制の仕組みごと設計してもらう発注になるため、業務設計の提案力がある会社を選ぶ必要があります。

費用相場:何にいくらかかるか

費用は「任せる業務の範囲」と「取引量(仕訳数)」でほぼ決まります。各社が公開している料金表を比較すると、おおよそ次のレンジに収まります(2026年8月時点。取引量・業務内容のほか、部門別・セグメント別管理の有無といった仕訳の複雑さでも大きく変動するため、必ず個別見積もりで確認してください)。

委託範囲月額の目安費用体系
記帳のみ(月100仕訳前後)数千円〜1万円台従量制(1仕訳 50〜100円程度)が中心
記帳のみ(月300仕訳前後〜)1.5〜3万円〜同上。仕訳数に比例
記帳+一部業務(支払・経費精算など)3〜10万円月額制+従量の組み合わせ
経理業務全般(月次決算まで)10〜30万円程度業務範囲に応じた月額制

比較対象になるのは「経理担当者を 1 人雇うコスト」です。給与だけでなく、社会保険料の会社負担・採用費・教育期間の人件費・退職リスクまで含めると、月額の表面金額だけでは比較になりません。さらに 1 人経理の場合は、その人が休んだり辞めたりした瞬間に経理が止まるという、金額に表れないリスクも抱えます。

見積もりを取るときは、金額そのものより内訳の透明性を見てください。「仕訳数が増えたらいくら上がるのか」「イレギュラー対応は別料金か」が事前に明示されない会社は、導入後に費用が膨らみがちです。

会計事務所と経理代行の役割分担:どちらに何を頼むか

「経理の外注先」としては、経理代行会社のほかに顧問の会計事務所(税理士事務所)も候補になります。多くの会計事務所は顧問契約に付随して記帳代行を受けているからです。

使い分けの軸はこうなります。

実務では「日々の経理実務は経理代行、申告と税務判断は顧問税理士」という併用が最も安定します。既に顧問税理士がいる場合も、顧問契約はそのまま維持したうえで、事務所と分担する形で導入するのが基本です。記帳まで事務所に依頼している場合は、どこを事務所に残しどこを外に出すかを、事務所と相談したうえで決めてください。なお、会計事務所側が経理実務のキャパシティを課題としている場合には、事務所が委託先として経理代行を使う形(会計事務所向けプラン)もあります。

メリット・デメリット

経理代行の利点と注意点は、実務ではこう整理できます。

メリットは、属人化の解消(担当者の退職で経理が止まらない)、品質と納期の平準化、採用・教育コストの削減の 3 つが大きいところです。デメリットは、証憑の受け渡しの手間が残ること、任せきりにすると社内にノウハウが蓄積しないこと、イレギュラー対応で質問の往復が発生することです。

デメリットの多くは外注先の選び方と運用設計で回避できます。詳しくは記帳代行と経理代行の違いのメリット・デメリットの節を参照してください。

経理代行会社の選び方:7つの確認ポイント

料金表の比較だけで決めると失敗します。見積もり・商談の場で、次の 7 点を確認してください。

1. 品質を担保する仕組みがあるか

「経験豊富なスタッフが対応します」だけでは品質は担保されません。仕訳の判断基準をどう統一しているか、チェックは誰がどの範囲で行うか、判断の根拠を残して納品してくれるかを確認します。根拠が残らない納品は、あとから検証できず、税務調査や監査のときに困ります。

2. 納期が明示されているか

資料を送ってから何営業日で返ってくるかを必ず確認します。たとえば「月末締めの資料を翌月 3 営業日までに送付 → 5 営業日以内に仕訳納品」のように、双方の期日をセットで合意できる会社が理想です。記帳の納期は月次決算の早さの上限になるため、ここが曖昧な会社を選ぶと経営数字が翌月半ばまで見えなくなります。

3. セキュリティ体制

経理資料は取引先情報・給与情報を含む機微なデータです。ISMS(ISO/IEC 27001)認証やプライバシーマークの有無、データの保管場所と持ち出しルール、再委託の有無を確認します。

4. 対応範囲の柔軟性

一部業務だけの委託や、繁忙期だけの増量に対応できるか。「全部お任せプランのみ」の会社だと、自社に合わない業務まで買うことになります。

5. 会計ソフト・ツールの対応

既存の会計ソフトのまま依頼できるか、経費精算システムや請求システムとの連携はどうするかを確認します。ソフトの乗り換えを前提にされると、移行コストが見積もりの外に隠れます。

6. コミュニケーション手段と応答速度

日々の質問をどの手段で、どのくらいの速さでやり取りできるか。月次の締めに間に合う応答速度を確保できるかを、契約前に確認しておきます。試しに商談段階の質問への返答速度を見ておくのも有効です。

7. 契約条件と解約条項

最低契約期間、解約予告期間(実務では 30 日または 60 日前予告が一般的)、代行会社側の繁忙期(年末調整・決算期前後など)における解約・移行対応の制限の有無。引き継ぎ資料をどこまで残してくれるかも、この段階で確認しておきます。

導入前チェックリスト

商談の前に、次の項目を手元にまとめておくと、見積もりの精度が上がり、導入後の「想定と違った」を防げます。そのまま社内の検討資料に使ってください。

自社の現状把握

外注設計の決定事項

候補会社への確認事項

導入の流れ:現状整理から本格稼働まで

導入は概ね次のステップで進みます。標準的には、問い合わせから本格稼働まで 1〜2 ヶ月を見ておくとよいでしょう。

  1. 現状整理:上のチェックリストの「自社の現状把握」をまとめる。この資料の精度が見積もりの精度になります
  2. 見積もり・業務範囲のすり合わせ:どの業務を渡し、どの業務を社内に残すかを決める。承認フロー(支払の最終承認は社内に残す、など)もここで設計します
  3. 引き継ぎ:勘定科目の使い方・経費規程・取引先ごとの処理ルールを共有する。文書化されていない「担当者の頭の中のルール」を吐き出すのが最重要ポイントです
  4. 並走期間:最初の 1〜2 ヶ月は自社の確認を挟みながら運用し、品質と納期を検証する
  5. 本格稼働:確認の頻度を落とし、月次のレポートベースの運用に移行する

よくある失敗パターンと対策

導入後によく聞く失敗は、パターンが決まっています。

AI型経理代行という選択肢

近年は、AI を業務フローの軸に置いた経理代行が登場しています。従来型との違いは、作業の大部分(証憑の読み取り・仕訳の起票・チェック)を AI が担い、人間の専門チームが判断と品質確認に集中する点です。ここでいう「従来型」とは、証憑の読み取りから仕訳の起票までを人手で行うオペレーションのことで、委託先が代行会社か会計事務所かという区別ではありません。

この構造は、人手だけのフローが抱えやすい課題にそのまま対応します。

4649経理代行の記帳業務を担う 4649記帳代行では、この体制により従来 2 週間かかっていた記帳作業が 1 日に短縮された事例があります(※実際のご利用者様の事例です。納期はボリュームにより異なります)。AI 型を検討する場合も、選び方の 7 ポイント——特に判断根拠が残るか、セキュリティ体制はどうか——は従来型と同じ基準で確認してください。なお、AI 型の経理代行は事業会社が直接使うだけでなく、会計事務所が顧問先の実務を任せる委託先としても使えます。


経理代行は「どの会社に頼むか」の前に「どの業務を渡し、何を社内に残すか」を決めることが成否を分けます。現状の経理体制と月の取引量を整理したうえで、複数社から内訳の見える見積もりを取る——これが失敗しない導入の最短ルートです。

なお、個別の税務判断(勘定科目の是非や消費税の取扱いなど)は税理士の業務です。個別のケースで判断に迷うときは、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 個人事業主でも経理代行を利用できますか?
利用できます。ただし取引量が少ないうちは記帳代行(仕訳の入力のみ)で足りることが多く、費用も月数千円〜1万円台からと抑えられます。請求書発行や支払管理まで手が回らなくなってきた段階が、経理代行に切り替える目安です。
Q. 会計ソフトは今使っているものをそのまま使えますか?
多くの経理代行会社は主要な会計ソフト(弥生会計・freee会計・マネーフォワード クラウド会計など)に対応しており、既存のソフトを変えずに依頼できます。ただし対応ソフトは会社によって異なるため、見積もり時に必ず確認してください。
Q. 年度の途中からでも移行できますか?
できます。期首からの方が引き継ぎはシンプルですが、実務では月次の区切りで移行するケースが一般的です。移行月の前月までの残高と、進行中の未払・未収の一覧を引き継げば、期中でも問題なく開始できます。
Q. 税務申告もあわせてお願いできますか?
税務申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務のため、経理代行会社には依頼できません。申告は顧問税理士に、日々の経理実務は経理代行に、という分担が一般的です。顧問税理士がまだいない場合は、経理代行会社が提携税理士を紹介してくれることもあります。