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月次決算

月次決算 完全ガイド:流れ・チェックリスト・早期化の方法

執筆: 4649編集部

月次決算とは、1か月ごとに帳簿を締め、残高を確かめ、調整仕訳を入れて、その月の損益と財政状態を確定させる作業です。法律上の義務はありません。それでも多くの会社が行うのは、年に1回の決算では経営判断が最大で11か月遅れ、帳簿の誤りも同じだけ放置されるからです。

この記事は、月次決算を「これから組む」会社と「あるが翌月半ばまでかかる」会社の両方に向けて、締め日から報告までの流れ、勘定科目別の残高照合、月次で必要になる調整仕訳、そのまま使えるチェックリスト、そして翌月5営業日から3営業日に縮める手順をまとめました。税務上の個別判断は顧問税理士の領域なので、本記事は会計実務と業務設計の範囲で書きます。

月次決算とは:年次決算との違いと、義務ではないのに行う理由

年次決算は、会社法と法人税法にもとづいて事業年度ごとに計算書類・申告書を作る外部向けの義務です。月次決算は、その年次決算を12分割して毎月やる内部向けの実務で、書式も期限も会社が決めます。目的は3つに集約されます。

1つ目は経営判断の速さです。今月の粗利率が先月から3ポイント落ちたことを翌月上旬に知るのと、翌年の決算で知るのとでは、打てる手が変わります。2つ目は帳簿の精度です。売掛金の残高と請求書の控えが合わないことに気づくのが1か月後なら原因は数件ですが、12か月後なら原因の候補は数百件になります。3つ目は年次決算の前倒しです。毎月締まっていれば、決算整理は12月目の締めと大差ない作業になります。

「義務ではない」は「根拠がない」ではありません。会社法第432条は、株式会社に「適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定めています。中小企業庁が公表する中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)(平成24年2月1日・中小企業の会計に関する検討会)も総論で、経営者が自社の経営状況を適切に把握するために記帳が重要だとしたうえで、すべての取引について正規の簿記の原則に従い、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成することを求めています。月ごとに帳簿を締めて残高を確かめる月次決算は、この「適時・正確」を実務のうえで担保する最も普通の手段です。

もう1つ、資金調達の場面でも月次決算は効きます。経営者保証に関するガイドライン(日本商工会議所と全国銀行協会を事務局とする経営者保証に関するガイドライン研究会が平成25年12月に策定した、中小企業団体・金融機関団体共通の自主的な準則)では、金融機関が経営者保証を求めない融資を検討する要件として、法人と経営者の関係の明確な区分・分離、財務基盤の強化、財務状況の正確な把握と適時適切な情報開示の3つを挙げています。3つ目の「適時適切な情報開示」は、月次の試算表を出せる体制がなければ満たしようがありません。

年次決算との違いと法令上の根拠だけを先に押さえたい場合は、用語解説の月次決算とは?年次決算との違いと経営に効く使い方に、義務・相手・書式・期限の4観点の比較表としてまとめてあります。この先は、実際に締める手順の話に進みます。

月次決算の流れ:締め日から報告までの7ステップ

月末締めの会社を例に、標準的な流れを日程つきで示します。ここでの営業日は「翌月の第◯営業日」です。5営業日で締める体制を基本形にしています。

順序作業目標担い手の例
1資料の締め切り(領収書・請求書・経費申請・勤怠)翌月 2営業日全部門 → 経理
2記帳の完了(証憑からの仕訳起票、銀行・カード明細の取り込み)翌月 3営業日経理/記帳の委託先
3残高照合(預金・売掛金・買掛金・仮勘定など)翌月 3〜4営業日経理
4調整仕訳(経過勘定・減価償却・引当・在庫)翌月 4営業日経理/会計事務所
5試算表の確定と増減分析(前月比・前年同月比・予算比)翌月 5営業日経理
6月次レポートの作成と報告翌月 5営業日経理 → 経営者
7締め後の修正ルールの適用(締めた月には触らず翌月で直す)常時経理

この表で最も重要なのは、順序 1 と 2 が経理の手の外にあることです。月次決算が遅れる会社の大半は、順序 3 以降ではなく、順序 1〜2 で日程を失っています。 資料が翌月10日に届く会社は、どれだけ照合を速くしても翌月10日より前には締まりません。早期化の手順はこの記事の後半で扱います。

順序 7 は見落とされがちですが、月次決算を「確定させる」ためのルールです。締めた後に見つかった誤りをその月に遡って直すと、すでに報告した数字が動き、レポートの信頼が崩れます。原則は「締めた月の仕訳は動かさず、翌月に修正仕訳を入れる」。金額が大きく判断に影響するものだけ、経営者の承認を得て遡及修正する、と決めておきます。

残高照合:勘定科目別に何と合わせるか

月次決算の中核は残高照合です。試算表の各科目の残高を、帳簿の外にある証拠と突き合わせ、一致しなければ原因を潰します。照合の相手は科目ごとに決まっています。

勘定科目照合の相手よくある不一致の原因
現金実査(金種表)立替精算の未記帳、釣銭の混入
普通預金・当座預金通帳・ネットバンキングの月末残高月末の振込が翌営業日扱い、手数料の未記帳
売掛金得意先ごとの請求書発行控え・入金消込表入金の相殺(振込手数料差引)、値引の未処理、二重計上
買掛金・未払金仕入先ごとの請求書受領一覧請求書の未着、締め日のずれ(20日締めの仕入先)
仮払金・仮受金精算書出張精算の遅れ、内容不明入金の放置
立替金・預り金給与台帳(源泉所得税・社会保険料の従業員負担分)納付額と控除額のずれ、退職者の精算漏れ
前払費用・未払費用契約一覧(家賃・保険・保守料・サブスク)年払い契約の月割漏れ、解約済み契約の計上継続
借入金返済予定表元本と利息の按分誤り
固定資産固定資産台帳取得・除却の台帳未反映、修繕費との区分
仮払消費税・仮受消費税税区分別の集計表(税抜経理の場合)税区分の入力誤り、免税取引の混入

照合で一番効くのは、仮払金・仮受金・立替金の残高をゼロに近づける運用です。この3科目は「後で整理する」の置き場になりやすく、残高が数か月分積み上がると内容の特定に時間がかかります。月次の締めで残高がある場合は、内容と精算予定日を科目内訳表に書き、翌月の締めで再確認する。これだけで決算期の「仮払金50万円の中身がわからない」がなくなります。

預金の照合では、月末日の振込が金融機関側で翌営業日付になる「未達」を、帳簿側の残高と突き合わせて説明できる状態にしておきます。差額の理由が書けない不一致は放置しない。差額が数百円でも、原因が「手数料の未記帳」なのか「入金の二重計上」なのかで意味がまったく違います。

月次で必要な調整仕訳:経過勘定・減価償却・引当・在庫

記帳が終わって残高が合っても、それだけでは月の損益は出ません。年に1回しか動かない取引を月に割り付ける調整仕訳が要ります。中小企業庁の会計ツール集は、経過勘定等の取扱いとして、前払費用・前受収益は翌期以降にサービスの提供を受けた(した)時点で費用・収益になるため当期の損益に含めず、未払費用・未収収益は当期にすでにサービスの提供を受けて(して)いるため当期の損益に反映する、と整理しています。月次では、この「当期」を「当月」に読み替えて処理します。

前払費用の月割。 年払いの損害保険料 120,000円を4月に支払った場合、支払時に全額を費用にすると4月だけ費用が膨らみ、5月以降がゼロになります。

4月(支払時)  前払費用 120,000 / 普通預金 120,000
4〜翌3月(毎月) 保険料   10,000 / 前払費用  10,000

なお法人税では、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用について、継続して支払った事業年度の損金にしている場合には損金算入が認められています(国税庁タックスアンサー No.5380「短期前払費用として損金算入ができる場合」)。月次の管理会計で月割にすることと、年次の税務でどう扱うかは別の論点です。自社の契約がこの取扱いの対象になるかは顧問税理士に確認してください。

未払費用の計上。 月末時点で請求書が届いていない電気代や通信費は、前月実績や検針値で見積もって計上し、翌月に請求額で置き換えます。

当月末    水道光熱費 30,000 / 未払費用   30,000
翌月初    未払費用   30,000 / 水道光熱費 30,000(反転)
翌月請求時 水道光熱費 31,200 / 未払金     31,200

反転仕訳を使うと、翌月の請求書を通常どおり処理するだけで差額が自動的に翌月の費用に吸収されます。見積りと実績のずれを1件ずつ追いかける必要がなくなり、締めの前倒しに直接効きます。

減価償却費の月割。 年次決算でまとめて計上すると、期末月だけ費用が跳ね、月次の損益比較ができなくなります。取得価額 1,500,000円・耐用年数5年・定額法(償却率 0.200)の機械なら、年間償却費 300,000円を12で割った 25,000円を毎月計上します。

毎月  減価償却費 25,000 / 減価償却累計額 25,000

期中に増えた資産は、償却の起点が取得月ではなく事業の用に供した月である点に注意してください。国税庁タックスアンサー No.5400-2「事業の用に供した日」は、機械を購入した場合、工場に搬入しただけでは事業の用に供したことにならず、据付けを終えて試運転を完了し製品の生産を開始した日が事業供用日になる、としています。上の例のような据付けを伴う機械では、搬入した月ではなく生産を開始した月から月割で加えます。固定資産台帳に取得日と事業供用日の両方を記録していないと、この仕訳の元になる数字がありません。台帳の整備と月次の償却計上をセットで運用してください。

引当金の月割。 夏冬の賞与、退職金、貸倒れのように「支出は先だが原因は当月にある」費用は、引当金として月に割り付けます。中小企業庁の会計ツール集は、引当金の取扱いとして、将来の特定の費用・損失で、発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積れるものを引当金として計上する、としています。12月支給の賞与の見込額が 3,000,000円で、算定期間が6〜11月なら、毎月 500,000円を計上します。

毎月  賞与引当金繰入 500,000 / 賞与引当金 500,000

引当金は税務上、損金算入が認められないものが多く、年次決算で申告調整の対象になります。月次で計上する目的は損益の平準化であって、税務上の扱いは別に整理が要ります。ここも顧問税理士と年次で確認する論点です。

在庫の月末評価。 商品・製品を持つ会社は、月末在庫を確定させないと売上原価が出ません。実地棚卸を毎月行うのが理想ですが、難しければ帳簿棚卸(受払記録)か、前月までの原価率で概算し、四半期ごとの実地棚卸で補正する方式にします。どの方式でも「概算である」ことをレポートに明記します。

調整仕訳の多くは、金額か科目が毎月同じ「定型仕訳」です。会計ソフトの振替伝票のテンプレートや自動仕訳に登録し、月次の作業を「登録済みの仕訳を確認して確定する」形にすると、締めのたびに仕訳を組み立て直す時間が消えます。

月次レポート:経営者が見る数字は3枚で足りる

締めた数字をそのまま試算表として渡しても、経営判断には使われません。月次レポートは、経営者が15分で読み切れる分量に絞ります。基本形は3枚です。

1枚目は損益の推移表。 当月・前月・前年同月・予算の4列に、売上高、売上総利益、販管費、営業利益と、その率を並べます。金額の絶対値より率の変化を先に読む構成にします。粗利率が2ポイント動いたら、その要因(単価か、原価か、商品構成か)を1行添えます。

2枚目は増減の要因表。 前月比または予算比で動きの大きい勘定科目を、金額順に5〜10行。「広告宣伝費 +480,000円:9月開始の新規媒体の初期費用」のように、金額と一言の要因をセットで書きます。要因が書けない増減は、締めの精度が足りていないサインです。

3枚目は資金の状態。 月末の預金残高、翌月の入出金予定、借入金の残高と返済予定。損益が黒字でも資金が詰まることはあるので、この1枚は損益とは別に必ず置きます。

部門別・拠点別に管理している会社は、1枚目を部門ごとに展開します。それでも「経営者が読むのは3種類の表」という原則は変えません。細かい元帳は、質問があったときに出せる状態にしておけば十分です。

月次決算チェックリスト(テンプレート)

以下をそのまま表計算ソフトに貼り、担当と期限を埋めて使ってください。順序は作業の流れどおりで、「証跡」の列には確認に使った資料名を書きます。証跡が書けない項目は、確認が終わっていない項目です。

#区分確認項目担当期限証跡完了
1資料回収領収書・請求書・経費申請が締め日までに揃った(未着分は一覧化)2営業日
2資料回収銀行・クレジットカード・決済サービスの明細を取り込んだ2営業日
3記帳当月分の仕訳入力が完了し、入力待ちの証憑がゼロになった3営業日
4記帳売上の計上基準(納品・検収・請求)どおりに当月売上が計上されている3営業日
5照合現金残高が実査と一致した3営業日金種表
6照合預金残高が通帳・ネットバンキングと一致した(未達は説明できる)3営業日残高照合表
7照合売掛金の得意先別残高が請求書控え・入金消込と一致した4営業日売掛金年齢表
8照合買掛金・未払金の仕入先別残高が請求書受領一覧と一致した4営業日請求書一覧
9照合仮払金・仮受金・立替金の残高の内容と精算予定日を記載した4営業日科目内訳表
10照合預り金(源泉所得税・社会保険料)が給与台帳と一致した4営業日給与台帳
11照合借入金残高が返済予定表と一致し、利息が按分されている4営業日返済予定表
12照合固定資産台帳と帳簿残高が一致した(当月の取得・事業供用・除却を反映)4営業日固定資産台帳
13調整前払費用・前受収益の当月分を振り替えた4営業日契約一覧
14調整未払費用・未収収益を計上した(未着請求は見積計上)4営業日見積根拠
15調整減価償却費の当月分を計上した4営業日償却計算表
16調整賞与・退職給付など引当金の当月分を計上した4営業日引当計算表
17調整月末在庫を確定し、売上原価を計上した(概算なら方式を明記)4営業日棚卸表
18分析前月比・前年同月比・予算比で増減の大きい科目に要因を付した5営業日増減分析表
19分析消費税の税区分別集計に異常値がない(免税・不課税の混入)5営業日税区分集計
20報告月次レポート3枚(推移・増減要因・資金)を作成し報告した5営業日レポート
21確定当月の締めを確定し、以後の修正は翌月の仕訳で行うことを周知した5営業日

21項目すべてを初月から回す必要はありません。まず 1〜3 と 5〜9 の資料回収・記帳・照合を確実に回し、翌月以降に調整仕訳と分析を足していく順序が現実的です。逆に、13〜17 の調整仕訳を先に整えても、資料が揃わなければ意味がありません。

月次決算が遅れる原因は締め後ではなく締め前にある:5営業日から3営業日へ

「月次決算を早期化したい」という相談で、締めの作業そのものが遅い会社はあまりありません。遅いのは資料が届くまでの待ち時間と、記帳が終わるまでの時間です。翌月15日に締まっている会社の内訳を取ると、経理が照合と調整に使っているのは3〜4日で、残りは待ちだった、という構図がよくあります。早期化の手順は、この待ちを削る順番で組みます。

手順1:資料の締め日を決めて、守らせる。 「翌月2営業日までに経理へ」を全社ルールにし、遅れた分は翌月の費用にする、と宣言します。締め日を過ぎた領収書を受け付けている限り、締めは前に動きません。運用の要点は例外を作らないことで、役員の経費も同じ締め日にします。

手順2:記帳を月末にまとめず、日次・週次に分散する。 締め後に1か月分の証憑をまとめて入力する体制では、記帳だけで数日を使います。銀行・カード明細の自動取り込みを使い、証憑は届いた日に起票する運用に変えると、月末時点で当月分の大半が入力済みになります。記帳を外部に出している会社は、委託先の納期がそのまま月次の上限です。当社の4649経理代行の記帳業務(4649記帳代行)では、AIが証憑を読み取って仕訳を起こし専門チームが確認する体制で、従来2週間かかっていた記帳作業が1日に短縮された事例があります(※実際のご利用者様の事例です。納期は業務内容やボリュームにより異なります)。記帳が翌月1〜2営業日で戻ってくれば、3営業日での締めは照合と調整だけの話になります。

手順3:未着の請求書は待たずに見積計上する。 20日締めの仕入先や、翌月中旬に請求書が来る外注先を待っていると、締めは請求書の到着日で決まります。発注額や前月実績で未払費用を計上し、反転仕訳で翌月に実額へ置き換えます。「正確な数字が来るまで締めない」は、正確さではなく遅さを選んでいるのと同じです。

手順4:定型の調整仕訳を登録し、確認だけにする。 減価償却費、前払費用の月割、引当金の繰入は、金額がほぼ固定です。会計ソフトに登録して自動計上し、締めの作業を「登録済み仕訳の確認」に変えます。

手順5:質問の回答期限を決める。 「この5万円の出金は何か」という経理から現場への質問が3日滞れば、締めも3日遅れます。回答は2営業日以内、回答がなければ経理が仮処理して翌月修正、というルールを明文化します。記帳や締めを外部に委託している場合は、委託先からの質問への回答担当者を社内で1人決めておくことが、そのまま納期の担保になります。委託を前提にした月次カレンダーの例は経理代行はどこまで丸投げできるかに載せています。

手順6:締めの日数を毎月記録する。 資料が揃った日、記帳が終わった日、試算表が確定した日の3つを毎月記録します。どの区間が縮んでどこが縮んでいないかが見えないと、翌月に何を直せばよいかが決まりません。経理の自動化はどこから始めるかで勧めているベースラインの3指標(所要時間・差し戻し率・締めまでの営業日数)と同じ考え方です。

5営業日から3営業日への短縮で削るのは、締め後の作業ではなく、手順1〜3の待ち時間です。逆に、ここを直さずに照合や分析にAIツールを入れても、資料が揃う日が変わらなければ締まる日も変わりません。AIが月次決算のどの工程に効くかは、経理業務のAI活用ガイドの月次決算の節で整理しています。

月次決算を誰が担うか:経理担当・会計事務所・経理代行の分担

月次決算の担い手は、会社の規模と段階で変わります。

顧問の会計事務所が月次の試算表まで作っている会社は、多くの中小企業の基本形です。事務所は税務の観点で科目や処理を見てくれる存在で、申告と税務判断は事務所の領域です。この体制で月次が遅れている場合、原因は事務所側ではなく、会社から事務所へ資料が渡る日にあることがほとんどです。手順1と2を会社側で整えるだけで、事務所の作業が前倒しになり、試算表が早く戻ります。分担を変える前に、資料の渡し方を変えてください。

社内に経理担当がいる会社は、記帳と照合を社内で回し、決算整理と申告を事務所に依頼する形が多くなります。担当者が1人だと、その人が休んだ月に締めが止まります。チェックリストの「担当」列に副担当を書ける状態にしておくことが、属人化を防ぐ最低限の備えです。

締めの作業量が増えて、事務所にも社内にも収まらなくなった会社は、残高照合・調整仕訳・増減分析・月次レポートの作成という作業部分を経理代行に切り出し、事務所には確認と税務判断に集中してもらう分担があります。当社の4649月次決算はこの作業部分を担うメニューで、記帳は自社や顧問の会計事務所が行い締めだけを任せる使い方ができます。調整仕訳には判断の根拠を添えて納品するので、事務所や経営者が確認する時間は「根拠を読む」時間になります。会計事務所が顧問先の月次を抱えきれない場合には、事務所のバックヤードとして当社が担う会計事務所向けの形もあります。いずれも顧問契約を変える話ではなく、作業の担い手を分ける話です。

自社で締めを回しながらツールで速くしたい会社向けには、当社は freee と連携して集計・チェック・タスク管理を扱う締めAIを開発しています。現時点では公開・ベータ募集に向けた事前登録を受け付けている段階です。

どの分担を選ぶ場合も、月次決算の目的は「締めること」ではなく「数字を見て手を打つこと」です。月次レポートを誰も開かない運用になっていたら、締めの速さより先に、レポートの3枚を経営者が読む時間を固定してください。


月次決算は、義務ではないが根拠のある実務です。会社法が求める「適時で正確な会計帳簿」を実務で担保し、経営者保証のガイドラインが求める適時適切な情報開示を可能にし、何より経営判断を11か月早めます。組む順序は、資料の締め日、記帳の日次化、残高照合、調整仕訳、3枚のレポート。早める順序は、締め後の作業ではなく締め前の待ち時間から。この記事のチェックリストを来月の締めから1つずつ埋めていけば、3か月後には締めの日数が数字で見えるようになります。

なお、短期前払費用や引当金の税務上の取扱い、消費税の税区分など、個別の税務判断は税理士の業務です。自社のケースで判断に迷うときは、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 月次決算は法律で義務付けられていますか?
月次決算そのものを義務付ける法律はありません。ただし会社法第432条は株式会社に「適時に、正確な会計帳簿を作成」することを求めており、中小企業庁が公表する中小会計要領も、経営者が経営状況を把握するために適時の記帳が重要だとしています。月ごとに帳簿を締めて残高を確かめる月次決算は、この「適時・正確」を実務で担保する手段です。年に1回まとめて整える運用では、誤りの発見が最大1年遅れます。
Q. 月次決算は翌月何営業日までに終えるのが目安ですか?
目安は会社の使い方で決まります。月次の数字を役員会や金融機関への報告に使うなら、その会議日から逆算した営業日が締め切りです。本記事では翌月5営業日を最初の目標に置き、記帳を日次化して資料の締め日を固定できた会社は3営業日を狙う、という順序を勧めています。10営業日を超えて確定する状態は、締め後の作業ではなく、締め前に資料が揃わない構造に原因があることがほとんどです。
Q. 月次決算を外部に任せる場合、会計事務所と経理代行のどちらに頼むべきですか?
どちらか一方ではなく、分担で考えてください。顧問の会計事務所が月次の試算表まで作成しているなら、その体制を変える必要はありません。事務所は税務の観点で科目や処理を見てくれる存在で、申告と税務判断は事務所の領域です。一方、残高照合や経過勘定の計上、増減分析、月次レポートの作成といった締めの作業量が増えて翌月半ばまでずれ込むようになったら、その作業部分を経理代行に切り出し、事務所には確認と税務判断に集中してもらう分担が機能します。分担の変更は、事務所に相談したうえで決めてください。