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仕訳・勘定科目

消費税の税区分の判定:課税・非課税・不課税・免税の見分け方

執筆: 4649編集部

消費税の税区分は、4つの中から選ぶものではありません。上から順に当てはめて、残ったものが答えになります。順序は、①課税の対象になる取引か(国内・事業者が事業として・対価を得て・資産の譲渡等の4要件)→ ②法律が非課税と列挙したものに当たるか → ③輸出取引などの免税に当たるか。①で落ちれば不課税、②で当たれば非課税、③で当たれば免税、どれでもなければ課税です。輸入(保税地域からの外国貨物の引取り)だけは別枠で、それ自体が課税の対象になります。

会計ソフトの入力画面ではこの4つが並列に見えるので、担当者は「どれっぽいか」で選んでしまいます。ここが誤りの入口です。

判定は4段階(+輸入の別枠)。並列に選ばず、上から落とす

段問いNo ならYes なら
0保税地域から外国貨物を引き取る取引か1 へ課税(輸入取引)
1国内の取引か不課税(国外取引)2 へ
2事業者が事業として、対価を得て行う資産の譲渡等か不課税3 へ
3消費税法が非課税と定めた取引に当たるか4 へ非課税
4輸出取引など免税の対象か課税免税

第0段だけ別枠です。輸入(保税地域からの外国貨物の引取り)は、国内の取引かどうかを問わずそれ自体が課税の対象になるため、先に落とします。税関に納めた輸入消費税を「国外の相手との取引だから不課税」と倒すと、仕入税額控除をまるごと落とすことになります。

残る第1段からの順序には理由があります。非課税と免税は、どちらも「課税の対象であること」を前提に、そのうえで税を課さない・免除するという構造だからです。課税の対象に入っていない取引には、そもそも非課税も免税も出番がありません。段を飛ばして「消費税がかからないから非課税」と決めるのが、いちばん多い間違い方です。

課税取引の4要件:国内・事業として・対価・資産の譲渡等

第1段と第2段で見ているのが、課税の対象の要件です。国税庁のタックスアンサーNo.6105 課税の対象は、消費税の課税対象を、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および特定仕入れと、保税地域から引き取られる外国貨物に限る、としています。

「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復・継続・独立して行うことです。同じページの例がわかりやすい。中古車販売業者が中古車を売れば事業としての取引ですが、給与所得者が自分のマイカーを売っても事業としての取引には当たりません。

実務で効いてくるのは「対価を得て」です。受け取るお金が、こちらが提供した資産やサービスの対価になっているか。ここが切れていれば、金額がいくら大きくても不課税になります。

不課税は「4要件を満たさない収入と支出」

No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例が挙げているのは、給与・賃金、寄附金や祝金・見舞金、無償による資産の譲渡、保険金や共済金、株式の配当金などの出資分配金、資産について受けた損害賠償金です。いずれも対価性がありません。

給与が不課税なのは、雇用契約に基づく労務の提供であって「事業として」に当たらないからです。同じ人に同じ作業をしてもらっても、請負契約の外注費なら課税仕入れになります。区分されるのは契約書の名前ではなく実態です。

支払う側でも判定が要ります。従業員に支払う給与は不課税ですが、一緒に支払う通勤手当のうち通常必要と認められる部分は課税仕入れです(消費税法基本通達11-2-2、第2節 課税仕入れの範囲)。1本の支払で税区分が分かれます。

給与手当    300,000(不課税)   / 預り金     45,000
旅費交通費   15,000(課税仕入10%)/ 普通預金  270,000

登録免許税や自動車税といった租税公課、補助金・助成金、慶弔金も不課税。海外出張で現地のホテルに払った宿泊代は国外取引なので不課税ですが、国際線の航空運賃は国際輸送として免税です。出張旅費の精算書では、この2つが同じ1件の申請に並びます。

非課税は法律が列挙したものだけ。増やせない

非課税取引は、課税の対象にはなるものの、消費税の性格から課税になじまないものと、社会政策的な配慮から課税しないものを、法律が限定列挙したものです。No.6201 非課税となる取引が挙げるのは、土地の譲渡・貸付け、有価証券や支払手段の譲渡、預貯金や貸付金の利子・保険料、郵便切手類や印紙・物品切手等の譲渡、行政手数料、社会保険医療、介護保険サービス、住宅の貸付けなど17の区分です。

列挙である以上、「業界の慣習で消費税を乗せていないから非課税」といった理由で増やすことはできません。取引先の請求書に消費税が書かれていないという事実は、判定の根拠になりません。

判定が割れるのは「土地に見えるが土地ではない」ケースです。No.6213 駐車場の使用料などは、車両の管理を行う場合や、地面の整備・フェンス・区画・建物の設置などをして駐車場として利用させる場合は課税、と整理しています。更地のまま貸す青空駐車場なら非課税。同じ土地でも、砂利を敷いてロープで区画を切った時点で課税に変わります。土地の貸付けでも、契約上の期間が1か月に満たないものは課税です。

住宅の貸付けが非課税なのは居住用が前提で、同じ建物を事務所として貸せば課税。借上社宅の家賃は非課税仕入れ、社員から徴収する社宅使用料は非課税売上です。この売上側が、次に見る課税売上割合に効いてきます。

郵便切手と印紙にはもうひとひねりあります。譲渡が非課税になるのは、日本郵便株式会社や郵便切手類販売所、印紙売りさばき所といった一定の場所での譲渡に限られる(第4節 郵便切手類等及び物品切手等の譲渡関係)ため、金券ショップで買った印紙は課税仕入れです。そのうえで、購入した後の扱いは切手と印紙で分かれます。郵便切手類と物品切手等は、原則として購入時ではなく引換給付を受けた時点、切手なら郵便に使った時点で課税仕入れになります。自ら引換給付を受けるものについては、継続適用を条件に購入時の課税仕入れとすることも認められていますが、インボイス制度の下ではこの継続適用が認められる場面が限られます。郵便切手類なら、郵便ポストへの差出しのように適格請求書の交付が著しく困難なものとして交付義務が免除される郵便・貨物の運送に係る課税仕入れである場合(規則第26条の6第2号)、物品切手等なら、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れである場合(令第49条第1項第1号ロ)の2つです(消費税法基本通達11-3-7、第3節 課税仕入れ等の時期)。窓口に差し出して適格請求書の交付を受ける郵便や、自社で使う商品券・ギフト券はこの2つに当たらないため、購入時計上はできません。処理方法が年によって揺れていれば、それは継続適用ではありません。収入印紙はこの通達の対象ではありません。使う行為が印紙税の納付だからで、使用時に課税仕入れは立たず不課税(租税公課)です。

免税は「税率0%の課税取引」。仕入税額控除が残る

免税取引は、課税取引でありながら税を免除するものです。No.6551 輸出取引の免税は、国内からの輸出として行われる資産の譲渡・貸付け、国内と国外の間の通信や郵便、非居住者に対する工業所有権・著作権などの譲渡・貸付け、非居住者に対する役務の提供などを挙げています。適用には輸出許可書などの証明書類の保存が要件です。

非課税との決定的な違いは仕入税額控除です。No.6205 非課税と免税の違いは、非課税取引のために行った課税仕入れの税額は原則として控除できないのに対し、免税取引のために行った課税仕入れの税額は原則として控除できる、としています。売上に税は乗らないのに、仕入の税は返ってくる。輸出中心の会社で消費税が還付になるのは、この構造によるものです。

なお、4分類と、10%か軽減税率8%かは別の軸です。まず4分類を決め、課税と決まったものについて税率を選ぶ。適格請求書(インボイス)の保存要件もさらに別の軸で、課税取引だと正しく判定できても、保存すべき請求書がなければ仕入税額控除は受けられません。

非課税と不課税を取り違えると、課税売上割合が狂う

ここが、この記事でいちばん金額に効く論点です。

No.6209 非課税と不課税の違いは、非課税取引と不課税取引は消費税が課税されない点では同じだが、課税売上割合の計算において取扱いが異なる、と述べています。課税売上割合は、No.6405 課税売上割合の計算方法のとおり、分母が課税売上高・免税売上高・非課税売上高の合計、分子が課税売上高と免税売上高の合計です。不課税の収入は、分母にも分子にも入りません。

割合が効いてくるのは仕入税額控除の計算です。No.6401 仕入控除税額の計算方法によれば、課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上の課税期間は課税仕入れ等の税額を全額控除できますが、5億円を超える、または95%未満の課税期間は、課税売上に対応する部分しか控除できません。

社宅使用料が年2,500万円、課税売上が年4億円の会社で考えます。

仕訳帳を見ても、借方・貸方の科目と金額は同じです。違うのは税区分の1項目だけ。それでも申告書の控除税額は変わり、しかも誤りの向きが「割合を高く見せる」側なので、控除しすぎ=納付不足の側に倒れます。逆に、受取配当金や保険金のような不課税の収入を非課税売上で処理すると、分母だけが膨らんで割合が下がり、控除できるはずの税額を落とします。

土地を売却した期も注意が要ります。非課税売上が一度に立って割合が大きく下がるためです。No.6417 課税売上割合に準ずる割合という制度がありますが、適用には税務署長の承認が必要です。該当しそうな期があるなら、期末を待たず顧問税理士に相談してください。

迷いやすい取引の判定表

科目マスタや仕訳マニュアルに貼って使える形にしました。自社で迷った取引を追記していけば、判定の辞書になります。

取引税区分判定の理由
従業員の給与・賞与不課税雇用契約に基づく労務の提供
通勤手当(通常必要と認められる部分)課税仕入10%基本通達11-2-2
業務委託先への外注費課税仕入10%請負契約に基づく役務の提供
登録免許税・印紙税・自動車税不課税対価性がない
社会保険料の会社負担分非課税保険料を対価とする役務の提供
受取配当金不課税出資に対する配当。対価性がない
受取利息・支払利息非課税預貯金・貸付金の利子
受け取った保険金・補助金・助成金不課税対価性がない
土地の購入・売却非課税土地の譲渡
建物の購入・売却課税非課税の列挙にない
青空駐車場(更地のまま貸付)非課税土地の貸付け(No.6213)
舗装・区画した駐車場の使用料課税施設の利用に伴う土地の使用(No.6213)
貸付期間が1か月未満の土地の貸付け課税非課税となる土地の貸付けから除かれる
社宅使用料の収入・借上社宅の家賃非課税住宅の貸付け
事務所・店舗の家賃課税居住用ではない
銀行の振込手数料課税仕入10%役務の提供の対価
クレジットカードの加盟店手数料非課税金銭債権の譲受けの対価(質疑応答事例「クレジット手数料」)
郵便局で買った郵便切手非課税一定の場所における譲渡。原則は郵便に使った時点で課税仕入れ(基通11-3-7。購入時計上の継続適用はポスト差出し等に限られる)
郵便局・コンビニで買った収入印紙非課税印紙売りさばき所での譲渡。使用(印紙税の納付)は不課税
金券ショップで買った印紙課税仕入10%非課税となる譲渡場所の限定から外れる
海外出張の現地宿泊費不課税国外取引
国際線の航空運賃免税国内と国外の間の旅客輸送
輸出売上免税輸出証明書類の保存が要件(No.6551)
輸入した商品の引取り(税関に納付する輸入消費税)課税保税地域からの外国貨物の引取り(No.6105)。国外の売主に支払う商品代金自体は国外取引で不課税

税区分の誤りは、月次のどこで見つかるか

税区分は、間違えても試算表が崩れません。借方と貸方は一致し、残高も合う。だから残高照合では出てきません。期末に顧問の会計事務所や税理士のチェックで初めて指摘され、1年分をさかのぼって直すことになりがちです。誤りを月次のうちに潰しておけば、決算前の限られた時間を、事務所には判断が要る論点だけに使ってもらえます。

月次で拾うなら、見る場所を3つ決めておくのが早い。

当月に新設した勘定科目と取引先。誤りの多くは科目マスタの既定値がそのまま通ることで起きます。締める前に一覧で税区分を確認してください。

同じ取引先・同じ摘要なのに税区分が月によって違う仕訳。仕訳日記帳を取引先と摘要で並べ替えると、揺れている行が視認できます。担当者が交代した月と、代行入力した月に集中して出ます。

非課税・不課税で計上されている売上の全件。件数はたいてい多くありません。課税売上割合に直接効くので、金額の大小にかかわらず全部見る価値があります。社宅使用料、受取利息、受取配当金、保険金、補助金、土地や有価証券の売却。この6種類が出ていれば、個別に確かめてください。

仕入側は件数が多く、全件を人手で見るのは現実的ではありません。当社の4649仕訳チェックは、勘定科目や消費税の税区分の誤り、二重計上、計上漏れ、期ずれを観点に、サンプルではなく全仕訳をAIでチェックし、修正が必要な仕訳を根拠つきで報告するメニューです。記帳は自社や顧問の会計事務所で行い、チェックだけを切り出して任せる使い方ができます。月次の締め全体の流れは月次決算 完全ガイドにまとめました。


税区分の判定は、覚える作業ではなく順序を守る作業です。4つから選ぼうとするから迷う。国内か、対価があるか、列挙に当たるか、輸出か。この4問を同じ順で当てていけば、大半の取引は機械的に決まります。残るのは駐車場や社宅のような境界の取引だけで、それは判定表に書いて社内で共有すればいい。

なお、この記事は一般的な制度と実務の解説です。個別の取引の判定、課税売上割合の計算方式の選択、過去分の修正手続については、事実関係を踏まえた税務判断になるため、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 非課税と不課税は、どちらも消費税がかからないのに区別する必要がありますか?
あります。仕訳の見た目は同じでも、課税売上割合の計算で扱いが変わるからです。非課税売上は課税売上割合の分母に入りますが、不課税(課税対象外)の収入は分母にも分子にも入りません。国税庁のタックスアンサー No.6209「非課税と不課税の違い」も、両者は消費税が課されない点では同じだが課税売上割合の計算において取扱いが異なる、と明記しています。課税売上割合は仕入税額控除の金額に直結するので、社宅使用料や受取利息のような非課税売上を「対象外」で処理していると、割合が実際より高く出て、控除できない分まで控除してしまいます。売上側の税区分は、仕訳の正しさというより申告の正しさの問題として見てください。
Q. 会計ソフトの「対象外」は不課税と同じ意味ですか?
実務上は同じものを指します。消費税法に「不課税」という条文上の用語があるわけではなく、課税の対象(国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および特定仕入れ、ならびに保税地域から引き取る外国貨物)に当たらない取引を、実務で不課税取引と呼んでいます。会計ソフトではこれを「対象外」「不課税」「課税対象外」などと表示します。ただし表示名が同じでも、給与や租税公課の初期設定はソフトや科目マスタによって異なります。自社のマスタで、給与手当・法定福利費・租税公課・受取配当金・受取利息といった間違いの多い科目に、どの税区分が既定値として入っているかを一度確認してください。
Q. 税区分を間違えたまま申告してしまった場合はどうすればよいですか?
納付すべき税額が少なすぎた場合は修正申告、多すぎた場合は更正の請求という手続があります。どちらを選ぶか、いつまでにできるか、延滞税や加算税がどう扱われるかは、誤りの内容と金額、事業年度によって変わります。ここは個別の税務判断そのものなので、顧問税理士に事実関係を伝えて対応を決めてください。経理側でやっておくべきなのは、誤りが「いつから」「どの取引で」「何件」発生していたかを特定し、同じ誤りが他の科目でも起きていないかを横断で確認することです。原因が科目マスタの既定値なら、マスタを直さない限り翌月も同じ誤りが出ます。