4649
固定資産・減価償却

固定資産管理の完全ガイド:取得から除却までの実務と台帳・償却・申告

執筆: 4649編集部

固定資産管理は、資産を買ったときに台帳へ登録して終わる業務ではありません。取得・保有・処分の3つの局面で発生するイベントを台帳に反映し続け、会計の帳簿・法人税の申告・償却資産税の申告という3つの帳面を、1つの台帳で説明できる状態に保つ業務です。崩れる原因はほぼ決まっていて、期末にまとめて処理するから登録が遅れ、現物の移動と廃棄が経理に届かないから台帳と現物がずれます。

この記事では、固定資産のライフサイクルを取得・保有・処分・申告の順にたどり、各局面で経理が判定すること、起こす仕訳、台帳に残す情報を整理します。3月決算を例にした年間カレンダーと、局面別のチェックリストを後半に置きました。資産計上の判定や減価償却の計算の詳細は、減価償却の計算方法と固定資産台帳の作り方に分けてあるので、本記事は全体の流れと判断の順序に重心を置きます。

固定資産管理とは:会計・法人税・償却資産税の3つの帳面を1つの台帳で整合させる業務

固定資産とは、1年を超えて事業に使う資産のうち、販売目的ではないものです。建物、建物附属設備、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品といった有形固定資産に、ソフトウエアや特許権などの無形固定資産、長期の投資その他の資産が加わります。固定資産管理の対象として実務で手がかかるのは、このうち減価償却の対象になる減価償却資産です。

ややこしいのは、同じ資産を見る帳面が3つあることです。

帳面根拠載る範囲固定資産管理での役割
会計帳簿(貸借対照表・固定資産台帳)会社法・会計基準資産計上した固定資産。取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満で費用処理したものは載らない月次の試算表と突合する正本
法人税の申告(別表十六)法人税法減価償却資産の償却限度額を資産ごとに計算。一括償却資産は別表十六(八)、少額減価償却資産の特例は別表十六(七)損金算入できる償却費の上限を決める
固定資産税(償却資産)の申告地方税法1月1日現在で所有する事業用の償却資産。取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満で一時に損金算入した資産と一括償却資産は対象外、少額減価償却資産の特例を使った資産は対象市区町村への毎年1月の申告

3つの帳面で載る資産の範囲が一致しないため、会計上の固定資産だけを台帳に載せていると、申告のたびに差額の説明に追われます。固定資産管理の実務的な定義は、この3つの帳面を、1つの台帳の列(区分)で抽出できる状態に保つことだと言えます。

固定資産台帳は任意の補助資料ではありません。国税庁は法人が保存すべき帳簿の例として、総勘定元帳や仕訳帳と並べて固定資産台帳を挙げており、保存期間は確定申告書の提出期限の翌日から7年、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度は10年です(No.5930 帳簿書類等の保存期間)。

固定資産管理の全体像:3つの局面と年間カレンダー

固定資産の一生は、取得・保有・処分の3局面に分かれます。各局面で経理がやることを先に一覧にします。

局面イベント経理が判定・処理すること
取得購入・製作・リース開始資産計上するかの判定、取得価額の確定、事業供用日の確認、台帳登録、償却方法と耐用年数の設定
保有使用・修理・改良・移動月次の減価償却費の計上、修繕費と資本的支出の区分、設置場所の更新、現物棚卸
処分廃棄・売却・使用停止除却・売却の仕訳、台帳からの除外(行は残す)、償却資産申告への反映
申告決算・1月1日別表十六の基礎資料の提供、償却資産申告の対象抽出

これを1年に落とすと次のようになります。3月決算の会社を例にしています。

時期やること補足
毎月10万円以上の請求書を資産計上の判定にかける。償却費を年額の12分の1で計上。貸借対照表の固定資産残高と台帳の期末簿価合計を突合登録の起点は請求書の受領時。期末にまとめない
4月前期の償却費の確定額と月次計上額の差額を調整。当期の償却スケジュールを確定期中取得資産の月割を反映
5〜6月法人税申告。別表十六の基礎として台帳を顧問税理士に渡す。償却方法の届出書の控えと台帳の設定を突合申告書の作成は税理士の領域
9〜10月中間の現物確認。簿価1円で止まっている行と、取得価額上位の資産だけでよい全件は期末に回す
12月年内に廃棄・売却が決まっている資産の処分を確認し、台帳に反映1月1日現在の所有資産が償却資産申告の対象
1月償却資産申告(原則1月31日)。台帳の「申告対象」区分で抽出申告書の作成・提出は自社または税理士
3月期末の現物棚卸。除却損の計上漏れと簿外資産を洗い出し、決算に反映差異は3類型で処理

毎月の作業が回っていれば、期末にやることは棚卸と確定計算だけになります。逆に毎月の登録が止まっている会社は、期末に取得・償却・除却・申告の4つが同時に押し寄せ、どれかが漏れます。

取得①:資産計上するかの判定は、取得価額・使用可能期間と判定単位で決まる

請求書が届いたとき、最初の判定は「これは固定資産か、費用か」です。判定の軸は取得価額と使用可能期間の2つで、まずは取得価額の区分から入ります。

取得価額選べる処理台帳償却資産申告
10万円未満全額を事業供用時の損金に。消耗品費などで費用処理載せなくてよい対象外
10万円以上20万円未満一括償却資産として3年均等償却、青色申告の中小企業者等なら少額減価償却資産の特例で全額損金算入(年間合計300万円まで)、または通常の資産計上一括償却なら申告対象外の区分で管理。特例を使った資産も載せる一括償却なら対象外、特例を使えば対象
20万円以上40万円未満青色申告の中小企業者等なら少額減価償却資産の特例で全額損金算入(年間合計300万円まで)、または通常の資産計上特例を使っても載せる特例を使っても対象
40万円以上通常の資産計上。減価償却載せる対象

取得価額が10万円以上でも、使用可能期間が1年未満の資産は、事業の用に供した事業年度に取得価額の全額を損金経理すれば、その事業年度の損金にできます。ここでの使用可能期間は法定耐用年数ではなく、その法人の営む業種で一般に消耗性のものと認識されているか、その法人の平均的な使用状況・補充状況がどうかで判断します。法定耐用年数2年のテレビコマーシャルフィルムで、放映期間が1年未満のものが例示です(No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。この場合は資産計上せず費用処理するので、償却資産申告の対象にもなりません。

少額減価償却資産の特例の対象は「取得価額40万円未満の減価償却資産」なので、10万円以上20万円未満の資産にも使えます。特例から外れるのは一括償却資産の規定の適用を受けた資産で、同じ資産に一括償却と特例を重ねて適用することはできません。どちらを選ぶかで償却資産申告の対象かどうかも変わり、一括償却なら対象外、特例なら対象です。

少額減価償却資産の特例の基準は、令和8年度税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられ、令和8年4月1日以後に取得して事業の用に供する資産から適用されます。適用期限は令和11年3月31日まで延長され、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象から外れました(中小企業庁 少額減価償却資産の特例)。令和8年3月31日以前に取得した資産は30万円未満が基準です(No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。決算期が4月1日をまたぐ会社は、同じ事業年度に30万円基準と40万円基準の資産が混在するので、取得日の記録を正確に残してください。

金額の判定は「通常1単位として取引される単位」ごとに行います。応接セットはテーブルと椅子で1組、カーテンは1部屋分の合計です(No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。請求書の明細が1行ずつ10万円未満に分かれていても、セットで機能するものは合算して判定します。モニター3台とPC本体を同時に買った請求書で、PC本体だけが10万円を超えるケースは、単独で機能する単位ごとに分けて判定することになります。

どの選択肢を取るかは、損金算入の時期と償却資産税の両方に影響するため、会社ごとの方針として税理士と決めておき、経理はその方針に沿って機械的に判定します。方針が決まっていない会社は、請求書が来るたびに担当者の判断がぶれ、同じ15万円のPCが一括償却資産になったり工具器具備品になったりします。

取得②:取得価額には付随費用を含める。含めなくてよい費用も決まっている

資産計上すると決まったら、次は取得価額の確定です。取得価額は本体の購入代価だけではありません。引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など購入に要した費用と、据付費や試運転費など事業の用に供するために直接要した費用を加えた金額です。

一方で、取得価額に含めないことができる費用も定められています。不動産取得税や新増設に係る事業所税などの租税公課、登録免許税その他の登記・登録のために要する費用、使用を開始するまでの期間に係る借入金の利子などです(No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用、法人税基本通達 第1款 固定資産の取得価額)。なお、この通達には自動車取得税も挙げられていますが、同税は2019年10月1日に廃止されているため、現行の税目としては読まないでください。

機械装置を例にします。本体1,800,000円、引取運賃50,000円、据付・試運転費150,000円、設備資金の借入利息(使用開始前の期間分)30,000円を同じ月に支払った場合、取得価額は本体と運賃と据付費を合わせた2,000,000円。借入利息は取得価額に含めず支払利息で処理する選択ができます。税抜経理(消費税率10%、借入利息は非課税)での仕訳は次のとおりです。本記事の仕訳例は税抜経理で統一しています。

機械装置      2,000,000 / 未払金      2,200,000
仮払消費税      200,000
支払利息         30,000 / 未払金         30,000

実務で取得価額が狂うのは、据付工事の請求書が本体と別の業者から別の月に届くケースです。本体だけで資産登録し、翌月の据付費を修繕費や雑費に落とすと、取得価額が150,000円少ないまま償却が始まります。資産登録のときに「この資産に関連する請求書がほかに来るか」を購買担当に確認する一手間で防げます。

台帳の登録項目で抜けやすいのは、取得年月日と別に持つ事業供用年月日です。償却は事業の用に供した日から始まるので、3月に納品されて4月に稼働した設備は翌期からの償却になります。納品書の日付で登録すると1期ずれ、ずれは償却スケジュール全体に残ります(期ずれとは)。台帳に持つべき列の全体は固定資産台帳の作り方にまとめています。

保有①:減価償却費は月次で12分の1ずつ計上し、期末に確定させる

登録した資産は、耐用年数と償却方法に沿って償却します。耐用年数は財務省令の別表で資産の種類ごとに決まっており、国税庁の主な減価償却資産の耐用年数表から構造・用途・細目で引きます。償却方法は、建物(平成10年4月1日以後取得)・建物附属設備・構築物(いずれも平成28年4月1日以後取得)・無形固定資産が定額法のみ、機械装置や器具備品などは届出で選択でき、届出がなければ法人は定率法です(No.5409 減価償却資産の償却方法の選定手続き、No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法)。

先ほどの機械装置2,000,000円を耐用年数10年・定額法(償却率0.100)で償却すると、年間の償却費は200,000円。月次決算では12分の1の16,666円を毎月計上し、端数は期末の確定計算で調整します。

減価償却費    16,666 / 減価償却累計額    16,666

月次で計上する理由は、損益を平準化するためだけではありません。毎月、貸借対照表の固定資産残高と台帳の期末簿価合計を突き合わせることで、登録漏れや除却漏れをその月のうちに拾えるからです。期末に年額をまとめて計上する運用では、差額が出たときに原因の月を特定できません。突合の型は残高照合のやり方、月次の締め全体の中での位置づけは月次決算 完全ガイドを参照してください。

定率法の資産は、調整前償却額が償却保証額を下回った年に改定償却率へ計算が切り替わります。表計算ソフトで台帳を持っている会社が最も間違える箇所で、償却保証額の列がない台帳は、切り替え年を見落として簿価が残り続けます。計算の流れは減価償却の計算方法で5年分を通して示しました。

保有②:修理・改良の支出は、修繕費か資本的支出かを判定してから計上する

保有中の資産に修理や改良の支出が発生したとき、全額を修繕費にできるとは限りません。固定資産の使用可能期間を延長させる部分、または価値を増加させる部分は資本的支出として資産に計上し、償却の対象になります。建物に避難階段を取り付けた、用途変更のために改装した、機械の部品を通常より高性能なものに交換した、といった支出が典型です。

判定には順序があります。国税庁のNo.5402 修繕費とならないものの判定に沿って整理すると、次のとおりです。

順判定結果
1通常の維持管理、またはき損した資産の原状回復のための支出か修繕費
2一つの修理・改良の金額が20万円未満か、またはおおむね3年以内の周期で行われることが明らかか修繕費にできる
3使用可能期間の延長・価値の増加に当たる部分が明らかかその部分は資本的支出
4資本的支出か修繕費か明らかでない場合、60万円未満か、または前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下か修繕費にできる

実務では、この表の順に請求書の内容を当てはめてから科目を決めます。本社ビルの外壁に避難階段を新設した工事900,000円は、物理的に付け加えた部分なので資本的支出です。

建物          900,000 / 未払金    990,000
仮払消費税     90,000

資本的支出は、原則として元の資産とは別の新たな資産を取得したものとして、元の資産と同じ種類・耐用年数で償却します。台帳には元の資産の資産番号にひもづく枝番で登録し、どの資産への支出かを追えるようにしておきます。判定が分かれるケース(大規模修繕で原状回復と改良が混在する工事など)は税務判断そのものなので、見積書の内訳を揃えたうえで顧問税理士に確認してください。

修繕費で落ちた20万円以上の支出の中に資本的支出が紛れていないかは、期末に修繕費の明細を金額の大きい順に見れば数分で確認できます。仕訳チェックの観点一覧の確認項目にも、この観点を入れておくと月次で拾えます。

保有③:現物棚卸は台帳から現物、現物から台帳の両方向で行う

台帳と現物のずれは、放置した期間に比例して広がります。年1回の棚卸は、固定資産管理の中で唯一、経理が自分の机では完結できない作業です。

やることは2方向の突合です。台帳の行から現物を探すと、除却漏れが見つかります。現物から台帳の行を探すと、台帳に載っていない簿外資産が見つかります。簿外資産は、修繕費や消耗品費で処理された設備、現場が直接購入した機器に多く、現物から台帳の方向を省略すると永久に見つかりません。

出てくる差異は「台帳にあるが現物がない」「現物があるが台帳にない」「数量・場所が合わない」の3類型で、それぞれの処理は固定資産台帳の作り方に表でまとめました。初回は全件にこだわらず、取得価額100万円以上の資産と、簿価1円で止まっている資産に絞ると、工数に対して見つかる差異が多くなります。簿価1円の行は、すでに捨てた資産が残っている典型的な場所で、除却損の計上漏れと償却資産申告の誤りが同時に出ます。

移動の管理も棚卸の一部です。部署間の移動や拠点間の移設は損益に影響しないため軽視されますが、償却資産申告は資産が所在する市区町村ごとに行うので、拠点をまたぐ移設を台帳に反映していないと申告先がずれます。台帳の設置場所の列を更新するだけの作業で、移設の連絡を経理に流す経路を決めておけば済みます。

処分:除却・売却・有姿除却の仕訳と、台帳から消さずに残す理由

資産を使わなくなったとき、処理は廃棄(除却)、売却、使用停止したが撤去していない状態(有姿除却)の3つに分かれます。いずれも、台帳の行を削除するのではなく、処分年月日と事由を記入して残します。過去の処分を追えなくなると、税務調査や監査で「この資産はどうなったか」に答えられません。

除却(廃棄)。取得価額600,000円の工具器具備品で、償却が終わって簿価1円になっているものを廃棄した場合、間接法の仕訳は次のとおりです。廃棄業者への支払(税抜)20,000円は、固定資産除却損に含める処理と雑費等で処理する方法があるので、社内で決めて継続します。

減価償却累計額    599,999 / 工具器具備品    600,000
固定資産除却損          1

固定資産除却損     20,000 / 未払金           22,000
仮払消費税          2,000

償却の途中で廃棄した資産は、簿価がそのまま除却損になります。除却損は損益計算書では特別損失に計上するのが一般的です。

売却。取得価額3,000,000円、減価償却累計額2,400,000円(簿価600,000円)の車両運搬具を、税抜500,000円で売却した場合、簿価との差額100,000円が固定資産売却損です。固定資産の売却は資産の譲渡なので、売却代金が消費税の課税売上の計算に入ります。簿価ではなく売却代金に対して消費税がかかる点を見落とすと、消費税の申告がずれます。

現金預金            550,000 / 車両運搬具    3,000,000
減価償却累計額    2,400,000 / 仮受消費税       50,000
固定資産売却損      100,000

期首から売却月までの減価償却費を計上してから売却の仕訳を起こすかは、会計方針として決めておきます。

有姿除却。解体や廃棄をしていなくても、使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産は、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損として損金算入できます。生産を中止した製品の専用金型なども同様です(法人税基本通達 7-7-2 有姿除却)。使用停止の決定を示す稟議書や、処分見込価額の算定根拠を台帳の根拠資料欄にひもづけておきます。有姿除却の要件を満たすかどうかは事実認定を伴う税務判断なので、適用する前に顧問税理士に確認してください。

処分で最も多い失敗は、仕訳も台帳の更新もされないまま現物だけが消えることです。廃棄の連絡を現場からの申告に頼ると必ず漏れるので、廃棄業者の伝票、リース満了通知、オフィスのレイアウト変更、退職者のPC返却といった経理側で検知できるイベントを除却の起点にします。

申告:償却資産申告は1月1日現在の所有資産を、台帳の区分で抽出する

固定資産税(償却資産)は、毎年1月1日現在で所有している事業用の償却資産に課税され、申告期限は原則として同年1月31日です。1月31日が土日にあたる年は翌開庁日になり、令和8年度は2月2日が期限でした(東京都主税局 令和8年度 固定資産税(償却資産)申告の手引き)。2027年1月31日は日曜日なので、令和9年度の期限は各自治体の案内で確認してください。同一の区(市町村)内で課税標準額の合計が150万円未満なら課税されませんが、免税点未満でも申告は必要です(東京都主税局 固定資産税(償却資産))。

申告の対象範囲は、冒頭の表のとおり会計上の固定資産と一致しません。取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満で一時に損金算入した資産と、20万円未満で一括償却を選んだ資産は対象外。少額減価償却資産の特例で全額損金算入した資産は、会計上は資産に残らないのに対象です。自動車税・軽自動車税の対象になる車両(大型特殊自動車は償却資産の対象)と、ソフトウエアなどの無形固定資産も対象外になります。

だから台帳には「償却資産申告の対象・対象外」の区分列が必要です。この列があれば、1月の申告は台帳をフィルタして前年中の増加資産と減少資産を抜き出すだけになります。列がない台帳では、毎年1月に全行を見直して対象を判定し直すことになり、特例で費用処理した資産が台帳に載っていなければ、申告からそのまま抜けます。

12月中に廃棄・売却が確定している資産は、年内に台帳へ反映しておきます。賦課期日が1月1日なので、台帳の反映が1月にずれ込むと、もう存在しない資産を申告することになります。

法人税の申告では、台帳の内容が別表十六に転記されます。定額法は別表十六(一)、定率法は別表十六(二)、少額減価償却資産の特例は別表十六(七)、一括償却資産は別表十六(八)です。申告書の作成は税理士の領域ですが、その基礎になる台帳の正確さは経理の責任で、台帳の期末簿価合計と貸借対照表が一致していることを確認してから渡します。

固定資産管理のチェックリスト:局面別の確認項目

ここまでの内容を、局面ごとの確認項目にまとめます。そのまま社内の手順書に貼って使えるように、判定の順序どおりに並べています。

取得時(請求書を受領したとき)

  • 10万円以上の請求書は、支払処理の前に資産計上の判定にかけたか
  • 判定単位は「通常1単位として取引される単位」で見たか(セット品の合算、単独機能品の分離)
  • 取得価額10万円以上でも、使用可能期間が1年未満の資産(業種上の消耗品に当たるもの)ではないかを確認したか
  • 取得価額に引取運賃・据付費・試運転費などの付随費用を含めたか。別業者・別月の関連請求書の有無を確認したか
  • 取得日と事業供用日を別の列に記録したか。供用日は現場に確認したか
  • 耐用年数は耐用年数表の構造・用途・細目で引いたか。中古資産なら見積りか簡便法かを記録したか
  • 償却方法は届出書の控えと一致しているか
  • 償却資産申告の対象区分を付けたか(費用処理した特例資産も含めて)
  • 根拠資料(請求書番号・稟議番号)を台帳にひもづけたか

毎月

  • 当月取得の資産を台帳に登録し、供用月から月割で償却費を計上したか
  • 貸借対照表の固定資産残高と、台帳の期末簿価合計が一致しているか
  • 修繕費・消耗品費の明細に、資産計上すべき20万円以上の支出が紛れていないか
  • 現場から届いた移動・廃棄の連絡を台帳に反映したか

棚卸時(年1回以上)

  • 台帳から現物、現物から台帳の両方向で突合したか
  • 簿価1円の行は全件、現物の有無を確認したか
  • 差異を3類型(現物なし・台帳なし・数量場所不一致)に分けて記録したか
  • 拠点をまたぐ移設を設置場所に反映したか

処分時

  • 処分年月日と事由(廃棄・売却・有姿除却)を台帳の行に記入し、行は残したか
  • 廃棄の証憑(業者の伝票・マニフェスト・リース満了通知)を根拠資料にひもづけたか
  • 売却は売却代金ベースで消費税を処理したか
  • 有姿除却は使用廃止の決定と処分見込価額の根拠を残し、税理士に確認したか

申告前(12月〜1月、決算期末)

  • 年内の処分を台帳に反映してから、1月1日現在の申告対象を抽出したか
  • 前年中の増加資産・減少資産が、台帳の取得・処分の行と一致しているか
  • 台帳の期末簿価合計と貸借対照表が一致した状態で、別表十六の基礎資料を税理士に渡したか
  • 償却方法の届出書と、当期に取得した資産の設定が一致しているか

固定資産管理の体制:登録の起点と除却の検知を仕組みにする

チェックリストは、それを回す体制があって初めて機能します。固定資産管理が崩れない会社に共通するのは、次の3つを仕組みにしていることです。

登録の起点を請求書の受領時に置く。 現場からの申告や期末のヒアリングを起点にすると、判定が遅れて期ずれが起きます。支払処理の前に、10万円以上の請求書が必ず資産計上の判定を通る経路にします。発注書・納品書・請求書を支払前に突き合わせている会社なら、三点照合の工程に資産判定を組み込むのが自然です。

除却を検知するイベントを決める。 廃棄業者の伝票、リース満了通知、レイアウト変更、退職者の備品返却。これらを経理に流す経路を決めておけば、現場の申告を待たずに処分を拾えます。

月次で会計と台帳を突合する。 残高が合っている状態を毎月作っておくと、期末の棚卸は差異の確認だけで済みます。

この3つのうち、現物の棚卸と、事業供用日・移動・廃棄の事実の把握は会社の中でしかできません。一方で、請求書からの資産登録、耐用年数と償却方法の設定、月次・年次の減価償却費の計上、台帳と会計の突合は、資料があれば外部でもできる作業です。4649経理代行の固定資産管理は、この作業部分を引き受けるメニューで、請求書や既存の台帳をいつものストレージで共有いただき、登録内容や耐用年数・償却方法をAIが起案して4649の担当者が確認したうえで台帳に反映し、減価償却費を計上して根拠資料とあわせて納品します。台帳が長年整備されていない状態からの現状整理にも対応します。償却方法や耐用年数の判断、申告書の作成は顧問税理士の領域のままなので、事務所との分担を事前に確認したうえでご相談ください。


固定資産管理は、ひとつひとつの作業は難しくありません。難しいのは、取得から処分まで数年にわたるイベントを、漏れなく台帳に反映し続けることです。期末にまとめてやろうとする限り、登録は遅れ、除却は漏れ、3つの帳面の差額説明に毎年同じ時間を使うことになります。請求書の受領を起点にし、除却の検知イベントを決め、月次で突合する。この3つを先に決めてから、チェックリストを回してください。

なお、この記事は一般的な制度と実務の解説です。少額資産の特例の適用可否、償却方法や耐用年数の選択、修繕費と資本的支出の区分、有姿除却の要件判定、除却損の計上時期といった個別の判断は税務判断にあたるため、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 固定資産管理は経理の仕事ですか、それとも現場の仕事ですか?
台帳を持ち、資産計上の判定と減価償却費の計上を行うのは経理です。ただし、経理は現物を見ていません。資産が実際に使い始められた日、移設された日、廃棄された日を知っているのは現場で、この情報が経理に届かなければ台帳は正しくなりません。分担としては、経理が「請求書を起点に登録し、月次で会計と台帳を突合する」、現場が「事業供用・移動・廃棄の3つのイベントを経理に伝える」、両者で「年1回の現物棚卸」を行う形が実務的です。現場からの連絡を待つ設計は必ず漏れるので、廃棄業者の伝票やリース満了通知、退職者の備品返却など、経理側で検知できるイベントを除却の起点に組み込んでおきます。
Q. 固定資産管理システムは入れたほうがよいですか?
資産の件数と、定率法の資産があるかで決まります。件数が数十件で定額法のみなら、会計ソフトの固定資産機能か表計算ソフトで足ります。定率法の資産があるなら、償却保証額を下回った年に改定償却率へ切り替える計算が手作業では漏れやすいため、償却計算を自動化できるソフトのほうが安全です。件数が数百件を超え、拠点や部署をまたいで移動が発生する会社は、管理番号のラベルと棚卸機能を持つ専用システムの効果が出ます。どの場合でも、システムが解決するのは計算と検索であって、登録の起点を請求書受領時に置く、除却の検知イベントを決める、といった運用設計は別に必要です。
Q. 顧問の会計事務所に決算を任せていれば、自社で固定資産管理をしなくてもよいですか?
分担の問題として考えてください。会計事務所が担うのは、償却方法や耐用年数の判断、減価償却の税務上の限度額計算、法人税申告書の別表十六や償却資産申告書の作成といった税務の領域です。一方、どの資産をいつ使い始め、どこに置き、いつ捨てたかという事実は会社の中にしかなく、事務所は現物を確認できません。台帳の元になる事実の記録と現物の突合は自社で行い、その台帳をもとに事務所が税務判断と申告を行う、という分担が基本です。台帳の更新や償却費の月次計上の手数が自社で回らないなら、その作業部分を外部に出す選択肢もあります。その場合も、税務判断は顧問税理士の領域のままで、分担を変えるときは事前に事務所と相談して決めてください。