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経費精算

経費で落ちるもの・落ちないもの:法人の判断基準4つと事例一覧

執筆: 4649編集部

「経費で落ちるか」という質問には、実は4つの別々の問いが混ざっています。会社がその支出を精算するか(経費精算規程の問題)、会計上の費用になるか(資産や立替金ではないか)、法人税の損金になるか(交際費等の限度や罰金のように、費用でも損金にならないものがある)、そして費用にはなるが従業員の給与として課税されないか(通勤手当や社宅、食事補助に線がある)。この4つを分けずに「落ちる・落ちない」の一覧だけを覚えると、会社は精算したのに従業員に源泉徴収が発生する、費用に計上したのに申告で加算される、といったずれが起きます。

この記事は、法人の経費精算を前提に、4つの問いを順に当てる判定の手順と、問いごとに税務が引いている線、経費精算の現場で迷いやすい事例21件を整理します。個人事業主の必要経費や家事関連費の按分は別の論点なので扱いません(No.2210 必要経費の知識)。税務上の個別判断は顧問税理士の領域なので、本記事は制度の一般的な解説と、経理が運用に落とすための整理に留めます。

「経費で落ちない」には4つの意味がある

同じ「落ちない」でも、どの段階で止まるかによって、帳簿と申告書で起きることが違います。

段階「落ちない」の意味帳簿・申告で起きること典型例
1. 精算会社が支払わない(規程の対象外、承認なし)申請を差し戻す。帳簿には載らない私的な飲食、規程の上限を超える宿泊費、事前承認のない備品購入
2. 会計支払うが、費用ではなく資産や債権になる固定資産・前払費用・立替金などに計上取得価額10万円以上の備品、年払いの保守料、取引先負担分の送料
3. 法人税費用だが、損金にならない費用計上のうえ、申告書で加算調整法人税・住民税、罰金・交通反則金、交際費等の限度超過分
4. 所得税費用だが、受け取った従業員の給与として課税費用計上のうえ、源泉徴収の対象に加える非課税限度額を超える通勤手当、要件を外れた食事補助や社員旅行

1は会社の内部ルール、2は会計基準、3は法人税法、4は所得税法と、判断の根拠がそれぞれ違います。だから「経費になるか」を一つの基準で答えることはできません。逆に言えば、4つに分けてしまえば、それぞれの問いにはかなり明確な線があります。

判定の順序:4つの問いを上から当てる

経費精算の申請を受け取ったら、次の順で見ます。上の表は「どの段階で止まるか」を帳簿・申告の流れの順に並べたもので、申請を見る順序とは並びが違います。判定は現場で先に分かることから当てるほうが速いので、ここでは所得税(給与課税)を2番目に置いています。上の問いで止まったものは、下の問いを考える必要がありません。

順問いNo ならYes なら次へ
1業務のための支出で、規程の範囲内か差し戻し。会社が負担するなら本人への給与2
2会社の費用か(従業員個人の利益になっていないか)給与として源泉徴収の対象に加える3
3当期の費用か(資産・前払・立替ではないか)固定資産・前払費用・立替金などに計上4
4法人税の損金になるか費用に計上し、申告書で加算調整通常の費用として完了

問い1と2は申請を受け付けるときに経理と承認者が見る部分、問い3と4は仕訳を起こすときに経理が見る部分です。経費精算の工程で言えば、問い1・2はチェック工程、問い3・4は仕訳工程に対応します(工程の全体像は経費精算の効率化ガイドで整理しています)。

問い1:業務のための支出か。線を引くのは税法ではなく経費精算規程

「業務に必要か」は、税法が個別に決めてくれる問いではありません。法人税法が損金として挙げているのは、売上原価、販売費・一般管理費その他の費用、損失という大きな枠組みで(法人税法第22条第3項)、個々の支出が業務上必要かどうかは、会社がその事業の実態に照らして説明できるかにかかっています。

だから実務で線を引くのは経費精算規程です。「社会通念上妥当な範囲」と書いた規程では、申請者も経理も判定できません。宿泊費は役職ごとに上限いくら、タクシーは終電後または重い荷物がある場合に限る、備品は事前承認のうえ1件いくらまで、と判定できる形で書きます。曖昧な条文を判定できる形に直す型は経費精算規程の作り方にまとめました。

規程の範囲外でも会社が負担した支出は、帳簿から消えるわけではありません。その金額は本人が受け取った経済的利益として給与になります(問い2)。役員の私的な支出を会社が負担した場合は、役員に対する給与として扱われ、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれにも当たらない限り法人税の損金にもなりません(No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分))。つまり役員の私的支出は、問い1で止めずに通してしまうと、問い2と問い4の両方で引っかかります。

問い2:会社の費用か、従業員の給与か。所得税が引いている8本の線

従業員のために会社が払う支出は、科目を福利厚生費や旅費交通費にしても、所得税法上は給与(経済的利益)に当たる場合があります。給与に当たれば源泉徴収が必要で、従業員の手取りが減ります。「経費で落ちた」と思っていた支出が、年末調整で本人の所得に加算されて初めて発覚する、という形で表に出ます。

線は所得税法と通達が具体的に引いています。経費精算で頻出するのは次の8本です。

支出給与として課税されない条件根拠
通勤手当(電車・バス)最も経済的かつ合理的な経路の運賃で、月15万円までNo.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
食事の現物支給(社員食堂・弁当など)現物で支給するものに限る。 本人が食事の価額の50%以上を負担し、会社負担が月7,500円(税抜)以下。残業・宿日直時の食事は無料でも非課税。現金で食事代を補助する場合は下記のとおり全額が給与No.2594 食事を支給したとき
社宅(従業員)賃貸料相当額の50%以上を本人から受け取っている。無償貸与なら賃貸料相当額が給与No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
社員旅行4泊5日以内(海外は外国での滞在日数)で、参加者が全体の50%以上。そのうえで、旅行の内容や会社の負担額に照らして社会通念上一般的なレクリエーション旅行であり、少額不追求の趣旨を逸脱しないこと。役員だけの旅行、取引先の接待目的の旅行、金銭との選択ができる旅行は対象外。自己都合の不参加者に金銭を渡すと、参加者も含めた全員にその金額相当の給与があったものとされるNo.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
創業記念品記念品として社会一般的にふさわしく、処分見込価額が1万円(税抜)以下。創業記念のように一定期間ごとに行う行事での支給は、おおむね5年以上の間隔。現金・商品券は全額給与No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき
永年勤続表彰記念品勤続年数や地位などに照らして社会一般的にみて相当な金額以内。勤続おおむね10年以上の人が対象で、同じ人を2回以上表彰する場合は前回からおおむね5年以上の間隔。一律の金額上限はない。現金・商品券は全額給与No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき
研修・資格取得費仕事に直接必要な技術・知識の習得、または免許・資格の取得のための費用で、適正な金額No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
健康診断・人間ドック一定年齢以上の希望者全員が受診でき、受診者全員の費用を負担。役員や特定の地位の人だけを対象にすると課税の問題が生じる質疑応答事例「人間ドックの費用負担」

食事の月7,500円は、令和8年(2026年)4月1日以後に支給する食事から適用される金額で、改正前は3,500円でした(食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて)。社員食堂や弁当の補助を規程で3,500円のまま運用している会社は、金額を見直す余地があります。この50%・7,500円の判定は、食事を現物で支給する場合のものです。食事代を現金で補助する場合は、深夜勤務者に夜食の現物支給ができないために1食650円(税抜)以下を支給する場合を除き、補助の全額が給与として課税されます(No.2594 食事を支給したとき。650円は令和8年4月1日以後の支給分で、改正前は300円)。従業員が自分で払った昼食代に会社が月いくらまで補助する、という形の食事手当は、会社負担が月7,500円以下でも、本人負担が50%以上でも非課税にはなりません(質疑応答事例「使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合」)。

この表に共通する考え方は「全員に、一定の基準で」です。社員旅行も健康診断も慶弔見舞金も、対象者を限定したり役員だけで実施したりすると、福利厚生ではなく特定の人への利益になります。慶弔見舞金は、一定の基準に従って支給されるものは福利厚生費として交際費等から除かれます(No.5261 交際費等と福利厚生費との区分)。受け取る側の課税は、弔事と慶事で根拠が分かれます。葬祭料・香典・災害等の見舞金は、社会的地位や贈与者との関係に照らして社会通念上相当と認められる金額であれば課税されません(所得税基本通達 9-23。質疑応答事例「贈与税の対象とならない弔慰金等」)。従業員の結婚祝金品は、雇用契約に基づく支給なので本来は給与ですが、その金額が受給者の地位などに照らして社会通念上相当と認められるものは課税しなくて差し支えないとされています(所得税基本通達 28-5。所得税基本通達 法第28条《給与所得》関係)。どちらも、一定の基準に従った支給だと示すには慶弔規程を置くのが確実です。規程なしに都度決めた金額では、基準に従った支給だと説明しにくくなります。

職務の性質上制服を着用すべき人に支給する制服は非課税です(所得税法第9条第1項第6号)。逆に、営業職のスーツのように私服としても着られる衣服は、会社が買っても本人の利益と見られます。経費精算で「作業着」の申請が出たら、業務専用の制服・作業服か、私服兼用かを申請区分で分けておくと判定が機械的になります。

問い3:当期の費用か、資産か。10万円の線と「1単位」の数え方

会社の費用であることが決まっても、当期の費用として全額を計上できるかは別です。使用可能期間が1年以上で取得価額10万円以上の物品は固定資産に計上し、減価償却で費用化します。10万円未満、または使用可能期間が1年未満なら、取得した期の費用(消耗品費)にできます(No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。

経費精算で間違えやすいのは、10万円を何の単位で見るかです。取得価額は通常1単位として取引される単位ごとに判定します。応接セットはテーブルと椅子を1組で、カーテンは1部屋ぶんを合計して判定するので、椅子1脚が8万円でも、セットで30万円なら固定資産です。領収書が複数枚に分かれていても、1単位として使うものは合算します。従業員が「机と椅子を別々に申請したから1件ずつ10万円未満」と考えて消耗品費で申請してきたら、ここで止めます。

10万円以上でも、20万円未満なら3年で均等に償却する一括償却資産、青色申告の中小企業者等なら40万円未満(令和8年4月1日以後取得。それ以前は30万円未満)を取得した期の損金にできる特例があります(No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)。これらの分岐と償却の計算は減価償却の計算方法で整理しています。

資産になるのは物品だけではありません。年払いの保守料やサーバー利用料のうち翌期以降の分は前払費用、取引先が負担すべき送料を自社が先に払った分は立替金で、どちらも当期の費用ではなく貸借対照表に載ります。従業員が立て替えた経費を精算するときの会社側の科目は、立替金ではなく未払金です(立替金と仮払金の違い)。

問い4:法人税の損金になるか。費用でも損金にならない3つの類型

会計上の費用に計上しても、法人税の計算で差し引けないものがあります。帳簿にはそのまま費用として載せ、法人税の申告書(別表四)で加算するという処理になるので、経理は「費用だが損金ではない」支出を仕訳の段階で識別できるようにしておく必要があります。

税金・罰金の類型。 法人税・地方法人税・法人住民税、各種加算税、延滞税、罰金・科料・過料は損金になりません。固定資産税、自動車税、印紙税、事業税は損金になります(No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期)。経費精算で出てくるのは交通反則金です。役員または使用人に課された罰金・科料・過料・交通反則金を会社が負担した場合、業務の遂行に関連してされた行為に対して課されたものは法人の損金になりませんが、それ以外のものはその役員・使用人に対する給与として扱われます(法人税基本通達 9-5-12 役員等に対する罰科金等)。この2つは処理が分かれます。営業車で業務中に受けた駐車違反のように業務関連なら、租税公課で処理したうえで申告書で加算するので、摘要に「反則金・損金不算入」と書いて申告時に拾えるようにしておきます。業務と関係のない違反を会社が負担した場合は、科目は租税公課ではなく給与で、使用人への給与なら損金に算入されますが源泉徴収が必要になり、役員への給与なら定期同額給与等に当たらないため原則として損金になりません。レッカー代や駐車場代は反則金ではないので、業務関連なら通常の費用です。

交際費等の類型。 得意先との飲食や贈答は交際費等に当たり、資本金1億円以下の中小法人では、年800万円までの定額控除か接待飲食費の50%かを選んで損金に算入し、超える部分は損金になりません(No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算)。1人当たり1万円以下の得意先との飲食費は、①飲食等のあった年月日 ②参加した得意先等の氏名・名称とその関係 ③参加した者の数 ④費用の金額と飲食店等の名称・所在地 ⑤その他参考となるべき事項、の5項目を記載した書類を保存すれば交際費等から除かれます。1人当たりの金額は、その飲食費の額を参加した人数で割って判定します。経費精算の側で効くのは、申請フォームに参加者と人数の欄がなければ1人当たりの金額を計算できない、という一点です。

債務が確定していない類型。 法人税の損金は、償却費を除き、事業年度末までに債務が確定したものに限られます。債務が確定しているとは、債務が成立し、具体的な給付の原因となる事実が発生し、金額を合理的に算定できる状態です(法人税基本通達 2-2-12 債務の確定の判定)。期末に「来期やる予定の修繕を今期の費用にしておく」ことはできません。経費精算では、未提出の精算を見込みで計上した金額がこれに当たりやすく、締め後に出てきた申請は、支出日ではなく債務の確定した日で判定します。

迷いやすい事例21件:4つの問いに当てた結果

経費精算の窓口に実際に出てくる申請を、問い1〜4に当てた結果で一覧にしました。「会社が払うか」は一般的な規程を前提にした目安で、自社の規程が優先します。税務上の扱いは、表に書いた前提(金額・対象者・目的)に制度を当てはめた一般的な結果です。前提が一つ変われば結論も変わるので、個別の案件は顧問税理士に確認してください。

#事例会社が払うか(問い1)科目・計上(問い2〜3)税務上の扱い(問い2・4)
1取引先2名・自社2名の会食、計3万2,000円払う会議費(1人8,000円)5項目を記録した書類の保存で交際費等から除外
2取引先との会食、1人1万2,000円払う交際費全額が交際費等。限度超過分は損金不算入
3部長3名だけの会食、1人8,000円規程次第交際費(社内飲食費)1万円基準の対象外。「おおむね一律」でないので福利厚生費にもならない
4全従業員対象の忘年会払う福利厚生費従業員の慰安のための通常の費用。交際費等に含まれない
5従業員の結婚祝い金3万円(慶弔規程あり)払う福利厚生費一定の基準に従った支給で交際費等から除外。受取側も社会通念上相当なら課税しない(所基通28-5)
6役員の家族との食事払わない(払った場合は役員給与)役員給与として損金不算入、本人に源泉徴収
7通勤定期6か月分、月換算16万円払う(規程の上限次第)旅費交通費15万円超の1万円は給与として源泉徴収
8社員食堂の補助、本人負担40%・会社負担月6,000円払う福利厚生費本人負担が50%未満なので会社負担分が給与
9昼食代補助として月5,000円を現金支給払う給与現物支給ではないので全額が給与。7,500円以下でも非課税にならない
10残業時の夜食(会社が現物で支給)払う福利厚生費無料でも非課税
11社員旅行3泊4日、参加率70%払う福利厚生費日数・参加割合は要件内。会社負担が社会通念上一般的な額なら給与課税なし。自己都合の不参加者に現金を渡すと、参加者も含めた全員にその額の給与
12役員2名だけの慰安旅行規程次第交際費または役員給与従業員レクリエーション旅行に該当しない
13営業職のスーツ払わない(払った場合は給与)私服兼用の衣服は本人の利益
14工場の作業服・安全靴払う消耗品費または福利厚生費職務の性質上着用すべき制服は非課税
15業務に必要な資格の受験料・講習料払う研修費直接必要かつ適正な金額なら給与課税なし
16全従業員対象の人間ドック払う福利厚生費希望者全員が対象なら給与課税なし。役員だけなら課税の問題
17応接セット(テーブル12万円+椅子4脚8万円)払う(事前承認)工具器具備品(1組20万円)1組で判定。20万円以上なので一括償却資産(20万円未満)は使えず、中小企業者等の少額減価償却資産の特例(40万円未満)か通常の減価償却
18ノートPC 8万8,000円払う(事前承認)消耗品費10万円未満。取得した期の損金
19営業中の駐車違反反則金1万5,000円規程次第業務関連なので租税公課業務関連の罰科金は損金不算入。業務外の違反を会社が負担した場合は本人への給与(使用人なら損金算入・源泉徴収、役員なら原則損金不算入)
20取引先負担の送料を自社が先払い払う立替金費用ではなく債権。請求して回収
21締め後に出てきた前期日付の領収書規程の申請期限次第旅費交通費等(相手勘定は未払金)。前期に計上すべきもの債務が確定したのは前期なので前期の損金。当期に費用計上しても当期の損金にはならない。更正の請求・修正申告の要否は顧問税理士に確認(期ずれ)

事例3・12・19が「規程次第」なのは、税務上の扱いは決まっていても、会社として払うかは規程が決める問題だからです。払う会社は、払ったうえで交際費等や損金不算入として処理します。払わない会社は申請の段階で差し戻します。どちらも成り立ちますが、規程に書いていないと担当者ごとに結論が変わります。

経理の運用:基準は規程と税理士で決め、照合は仕組みに任せる

4つの問いを毎回頭から考えていると、経理の1件あたりの処理時間は下がりません。判定を速くする方法は、問いの答えを申請区分と規程に先に埋め込むことです。

申請区分は、科目と税務上の扱いが一意に決まる粒度で切ります。「飲食費」ではなく「得意先との飲食(1人1万円以下)」「得意先との飲食(1人1万円超)」「社内の者のみの飲食」「会議の茶菓・弁当」に分け、得意先との飲食には、年月日・参加者の氏名と関係・人数・金額・店名と所在地の欄を必須にする(この5項目がそろわないと、1人1万円以下でも交際費等から除けません)。「備品」ではなく「10万円未満」「10万円以上(事前承認番号を入力)」に分け、1単位で判定する旨を申請画面に書く。こうしておくと、問い2〜4の多くは申請区分から機械的に決まり、経理が考えるのは区分の選び間違いだけになります。区分から科目・税区分を起こす対応表の作り方は経費精算の効率化ガイドの工程4で、科目そのものの判定は勘定科目の選び方ガイドで整理しています。

基準を決めるのは税理士との仕事です。交際費等の判定、給与課税の線、損金算入の可否は税法の解釈を伴うので、顧問の会計事務所と年に1回、規程と申請区分を見直す場を持ってください。食事の現物支給の7,500円や少額減価償却資産の40万円のように、年度で金額が動く線があります。見直しを怠ると、改正前の金額で規程を運用し続けることになります。

決めた基準に申請を照らす作業は、判断ではなく手数です。申請内容と領収書の金額・日付・宛名が合っているか、申請区分が規程の上限内か、同じ領収書が二度申請されていないか。この部分は人が1件ずつ目視しなくても成り立ちます。当社の4649経費チェックは、この照合の部分を引き受けるメニューで、領収書との突合、自社の経費規程との照合、二重申請の検出をAIが全件行い、4649の担当者が指摘の内容を確認してから、要確認の申請を根拠つきで報告します。交際費等に当たるか、損金になるかといった税務上の判断は顧問税理士の領域で、当社が行うのは規程に沿った照合と報告までです。基準を決めるのは顧問税理士、決めた基準で日々の申請を照合するのは仕組みか外部、という分担で、経理は判断が必要な案件に時間を使えます。

よくある質問

Q. 「経費で落ちる」と「損金になる」は同じ意味ですか?
違います。「経費で落ちる」は日常語で、会社が精算して会計上の費用に計上することを指すのが普通です。「損金になる」は法人税の用語で、課税所得の計算上その金額を差し引けることを指します。会計上は費用でも損金にならないものがあり、代表例が法人税・住民税、罰金・交通反則金、交際費等のうち損金算入限度額を超える部分です。帳簿には費用として載せ、法人税の申告書で加算調整をします。逆に、損金になるかどうかにかかわらず、業務に必要な支出なら会社は精算し、費用に計上します。
Q. 従業員の個人的な支出を会社が払ってしまった場合、どう処理しますか?
本人に返金してもらうのが第一です。返金せず会社の負担にするなら、その金額は本人への給与(経済的利益)として扱われ、源泉徴収の対象になります。福利厚生費などの科目で処理したからといって給与でなくなるわけではありません。役員の場合はさらに、定期同額給与などの要件を満たさない役員給与として法人税の損金にもならないのが原則です。経費精算の段階で「業務との関係を申請書で説明できるか」を確認し、説明できない申請は精算前に差し戻す運用にしておくと、この問題は起きにくくなります。
Q. 経費になるかどうかの判断は、経理が決めてよいのですか?
二段階に分けて考えてください。会社として精算するかどうかは、経費精算規程に基づいて経理と承認者が決めます。ここは会社の内部ルールの運用です。一方、交際費等に当たるか、給与として課税されるか、損金になるかといった税務上の扱いは、税法の解釈と当てはめを伴うので、基準を顧問税理士と事前に決めておき、個別に迷う案件は税理士に確認します。経理が日々やるのは、決めた基準に申請を照らして機械的に振り分けることで、基準そのものを都度つくることではありません。