固定資産を除却したときの仕訳は、処分した時点の帳簿価額(取得価額 − 減価償却累計額)を「固定資産除却損」に振り替える、これだけです。売却なら、売却価額と帳簿価額の差額が「固定資産売却益」または「固定資産売却損」になります。計算式は単純で、迷う点は式の外にあります。間接法と直接法で仕訳の形が変わる、除却月までの償却費をどうするか、売却代金には消費税がかかる、廃棄の証拠を何で残すか、そして台帳の行をどう扱うか。
この記事では、3つの数値例で除却・売却・下取りの仕訳を通して計算し、消費税の扱い、有姿除却、証憑の保存、固定資産台帳を「消さずに更新する」7つの手順をまとめます。固定資産業務全体の流れは固定資産管理の完全ガイド、台帳の列設計は固定資産台帳の作り方に分けてあります。
除却・売却・廃棄の違い:帳簿から外す処理と現物を手放す行為は別
言葉を先に整理します。除却は、使わなくなった固定資産を帳簿(固定資産台帳と貸借対照表)から外す会計処理です。廃棄は現物を捨てる行為、売却は対価を受け取って手放す行為で、どちらも現物側の出来事です。廃棄すれば帳簿では除却の処理を行い、売却すれば売却の処理を行います。
処理が分かれる軸は「対価を受け取ったかどうか」です。
| 現物に起きたこと | 会計処理 | 発生する損益 | 消費税 |
|---|---|---|---|
| 廃棄した(対価なし) | 除却 | 固定資産除却損 | 対価がないので課税の対象外。廃棄費用は課税仕入れ |
| 売却した(対価あり) | 売却 | 固定資産売却益 / 売却損 | 売却代金の全額が課税売上(土地は非課税) |
| 買い替え時に下取りに出した | 売却 + 新資産の取得 | 固定資産売却益 / 売却損 | 下取価額が課税売上、新資産は課税仕入れ |
| 使用をやめたが撤去していない | 有姿除却(要件あり) | 固定資産除却損 | 対価なし |
| 建替えのために取り壊した | 除却 | 固定資産除却損(取壊し費用を含む) | 取壊し費用は課税仕入れ |
よくある取り違えが、鉄くず業者やリサイクル業者に引き取ってもらい数万円を受け取ったケースです。現場の感覚では「捨てた」でも、対価を受け取っていれば会計上は売却です。「廃棄したので除却損」と処理して入金を雑収入に立てると、売却損益と課税売上の両方がずれます。
除却の仕訳:間接法と直接法の違いと償却途中・償却済みの計算例
除却損の金額は次の式で決まります。
固定資産除却損 = 処分時の帳簿価額(取得価額 − 減価償却累計額 − 当期の償却費)+ 廃棄費用(除却損に含める場合)
仕訳の形は、減価償却を間接法(減価償却累計額の勘定を使い、資産の取得価額を残す)で記帳しているか、直接法(資産の勘定を直接減らす)で記帳しているかで変わります。損益は同じで、違うのは帳簿の見え方だけです。
例1:償却途中の複合機を期中に廃棄した
3月決算の会社が、取得価額900,000円・耐用年数5年・定額法(償却率0.200、年額180,000円)の複合機を、取得から3年経った期の9月に廃棄した例です。期首の減価償却累計額は540,000円、期首の帳簿価額は360,000円。廃棄業者への支払は税抜30,000円(消費税3,000円)でした。
除却月までの償却費を計上する方針なら、4月から9月までの6か月分 180,000 × 6/12 = 90,000円を先に計上します。
減価償却費 90,000 / 減価償却累計額 90,000
間接法の除却仕訳は、取得価額の全額と累計額の全額を落とし、差額を除却損にします。
減価償却累計額 630,000 / 工具器具備品 900,000
固定資産除却損 270,000
固定資産除却損 30,000 / 未払金 33,000
仮払消費税 3,000
直接法なら、資産勘定に残っている帳簿価額をそのまま除却損に振り替えます。
減価償却費 90,000 / 工具器具備品 90,000
固定資産除却損 270,000 / 工具器具備品 270,000
除却月までの償却費を計上しない方針なら、償却費の仕訳を省いて除却損が360,000円になります。当期の費用合計はどちらも360,000円で変わりません。どちらにするかは会社の方針として固定し、毎年同じ処理を続けます。
廃棄費用30,000円は、固定資産除却損に含める処理と、雑費などの販管費で処理する方法の両方が実務にあります。ここも会社で決めて継続する項目です。除却損は損益計算書では特別損失に計上するのが一般的です。
例2:償却が終わって簿価1円の資産を廃棄した
償却が終わった資産は帳簿価額1円(備忘価額)で台帳と貸借対照表に残っています(減価償却の計算方法)。取得価額600,000円の事務机を廃棄したなら、仕訳はこの1円を落とすだけです。
減価償却累計額 599,999 / 工具器具備品 600,000
固定資産除却損 1
直接法なら「固定資産除却損 1 / 工具器具備品 1」の1行です。金額は1円でも、この仕訳を起こさない限り台帳の行は「保有中」のままで、償却資産申告の対象にも残り続けます。簿価1円の行は、すでに捨てた資産が取り残されている典型的な場所です。
除却で見落としやすい3つの資産
資本的支出の枝番。 修繕のうち資本的支出として元の資産とは別に登録した改良工事は、元の資産を除却するときに一緒に除却します。元の資産だけ落として枝番が台帳に残る漏れが多いので、除却時は同じ資産番号にひもづく枝番を検索します(修繕費と資本的支出の違い)。
一括償却資産。 取得価額20万円未満で3年均等償却を選んだ資産は、途中で廃棄しても除却損を損金にできず、3年目まで均等償却を続けます(国税庁 一括償却資産を除却した場合の取扱い)。会計上で除却損を立てると申告調整が必要になるため、台帳では「除却済み・償却継続中」として3年目まで残すのが実務です。詳細は一括償却資産と少額減価償却資産の違いを参照してください。
ソフトウエア。 物理的な廃棄がないので「捨てた」というイベントが起きません。自社の業務の廃止や、ハードウエアやオペレーティングシステムの変更などによって、そのソフトウエアを今後事業の用に供しないことが明らかな事実がある場合は、帳簿価額(処分見込価額があればそれを控除した金額)を除却損として損金算入できます(法人税基本通達 7-7-2の2 ソフトウエアの除却)。利用停止の事実を示す資料(契約解除の通知、システム切替の記録)を根拠として残します。
売却の仕訳:売却損益の計算と、税抜経理・税込経理での違い
売却損益は、売却価額(税抜経理なら税抜金額)と帳簿価額の差額です。
固定資産売却損益 = 売却価額 − 処分時の帳簿価額
例3:簿価500,000円の社用車を売却した
取得価額2,500,000円、減価償却累計額2,000,000円(帳簿価額500,000円)の車両運搬具を、税抜400,000円(消費税40,000円、入金440,000円)で売却した例です。帳簿価額500,000円に対して売却価額が400,000円なので、差額100,000円が固定資産売却損です。税抜経理・間接法の仕訳は次のとおりです。
現金預金 440,000 / 車両運搬具 2,500,000
減価償却累計額 2,000,000 / 仮受消費税 40,000
固定資産売却損 100,000
借方合計2,540,000円、貸方合計2,540,000円。売却損益は消費税を除いた金額で計算し、受け取った消費税40,000円は仮受消費税として別に立てます。
同じ車を税抜700,000円(消費税70,000円、入金770,000円)で売れたなら、帳簿価額との差額200,000円が固定資産売却益です。
現金預金 770,000 / 車両運搬具 2,500,000
減価償却累計額 2,000,000 / 仮受消費税 70,000
/ 固定資産売却益 200,000
税込経理を採用している会社では、仮受消費税の行がなくなり、税込の売却代金440,000円と帳簿価額500,000円の差額60,000円が売却損になります。消費税の経理方式で売却損益の金額が変わるので、自社がどちらの方式かを先に確認してください。
売却月までの減価償却費を計上してから売却の仕訳を起こすかどうかは、除却と同じく会社の方針です。計上すれば帳簿価額が小さくなるぶん売却損が減り(売却益が増え)、合計の損益は変わりません。
下取りは「売却」と「取得」の2つの取引に分ける
車や機械の買い替えで旧資産を下取りに出したときは、新資産の購入代金から下取価額を差し引いた金額だけを支払います。この差引後の金額で仕訳を起こしてはいけません。消費税法上、課税資産の譲渡等に際して下取りを行っても、譲渡等の金額から下取りに係る資産の価額を控除することはできないとされており(消費税法基本通達 10-1-17 下取り、国税庁タックスアンサー No.6305 商品の安売りや下取りがあるとき)、下取りは「旧資産の売却」と「新資産の購入」という独立した2つの取引として処理します。
例3の車を税抜400,000円で下取りに出し、税抜4,000,000円(消費税400,000円)の新車を購入して差額3,960,000円を支払った場合、税抜経理・間接法の仕訳は次のようになります。
車両運搬具(新) 4,000,000 / 車両運搬具(旧) 2,500,000
仮払消費税 400,000 / 仮受消費税 40,000
減価償却累計額 2,000,000 / 現金預金 3,960,000
固定資産売却損 100,000
新車の取得価額は値引き後の3,600,000円ではなく4,000,000円、旧車の売却は課税売上400,000円、新車の購入は課税仕入れ4,000,000円です。ディーラーの注文書には下取価額が差引項目として載っているので、そのまま入力すると取得価額と課税売上の両方が過小になります。取得価額に含める付随費用の判定は減価償却の計算方法にまとめてあります。
消費税の扱い:売却代金は全額が課税売上、土地は非課税、廃棄は対象外
固定資産の売却で間違いが多いのは消費税です。仕訳そのものより、税区分の付け方で申告がずれます。
売却代金の全額が課税売上になる。 消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等で、事業用設備の売却もこれに含まれます(国税庁タックスアンサー No.6117 「資産の譲渡等」とは)。事業に使っていた建物や機械、車両を売却した場合も、商品の販売と同じように課税されます(国税庁 事業者の事業用固定資産の売却)。課税標準になるのは売却代金の全額であって、売却益や帳簿価額ではありません。例3で課税売上に計上するのは売却損益の100,000円でも帳簿価額の500,000円でもなく、売却代金の400,000円です。会計ソフトは、売却代金を一度別の勘定で受けて税区分を付ける方法、売却損益の行に売却代金ベースの税区分を付ける方法など、入力の作法が製品ごとに違います。どの方法でも、仕訳を入れた後に消費税の集計表を開き、課税売上に400,000円(税抜)が計上されていることを確認してください。
土地の譲渡は非課税。 土地(借地権などの土地の上に存する権利を含む)の譲渡は非課税取引です(国税庁タックスアンサー No.6201 非課税となる取引)。土地と建物を一括で売却したときは、建物部分だけが課税売上で、契約書で区分されていなければ合理的に按分します。按分の方法は税務判断を伴うので税理士と決めてください。
課税売上割合に影響する。 課税売上割合は課税売上高を総売上高で割って計算し、分母には非課税売上高も含まれます(国税庁タックスアンサー No.6405 課税売上割合の計算方法)。固定資産の売却代金も本業の売上と一緒にこの計算に入り、土地を売却した期は非課税売上が増えて割合が下がります。たまたま土地の譲渡があった場合には、課税売上割合に準ずる割合の承認を受ける方法があるので(国税庁 たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認)、売却の前に税理士へ相談しておく項目です。
車両のリサイクル預託金は区分する。 中古車として売却するときに車両本体価格と区分して表示したリサイクル預託金相当額は、資金管理法人に預託されている預託金の譲渡(金銭債権の譲渡)として非課税になります。一方、未経過分の自動車税相当額は区分表示しても譲渡の対価に含まれ、課税売上です(国税庁 中古車販売における未経過自動車税等の取扱い)。売却時の明細に預託金が載っていたら、車両本体と分けて非課税売上の区分で入力します。
廃棄は課税の対象外、廃棄費用は課税仕入れ。 廃棄は対価を得て行う資産の譲渡ではないので、除却損に消費税の税区分は付きません。廃棄業者への支払は課税仕入れです。税区分の基本的な判定は消費税の税区分の判定で整理しています。
有姿除却:撤去していなくても除却損にできる条件と残す根拠
生産ラインの停止や事業の撤退で、使わなくなったが解体費用が高く放置している設備があります。この状態の資産は、要件を満たせば現物が残っていても除却損を計上できます。法人税基本通達 7-7-2 は、次の2つに該当する固定資産について、たとえ解撤・破砕・廃棄等をしていない場合でも、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入できるとしています(法人税基本通達 第1款 除却損失等の損金算入)。
- その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
- 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
帳簿価額1,200,000円の機械装置を使用廃止し、処分見込価額(スクラップとして売れる見込額)が100,000円なら、除却損は1,100,000円で、100,000円は資産として帳簿に残します。
固定資産除却損 1,100,000 / 機械装置 1,100,000
有姿除却で問われるのは金額ではなく、「今後使う可能性がない」ことをどう示すかです。使用廃止を決めた稟議書や取締役会の記録、生産中止の社内通知、電源を落として配線を外した状態の写真、処分見込価額の見積書を、台帳の根拠資料欄にひもづけて残します。「いずれ再稼働するかもしれない」と社内で言っている設備は要件を満たしません。要件に当たるかは事実認定を伴う税務判断なので、適用する前に顧問税理士に確認してください。
まだ使える建物を取り壊して新たに建物を取得した場合は、取り壊した建物の取壊し直前の帳簿価額(廃材等の処分価額を控除した金額)を、取り壊した日の属する事業年度の損金に算入します(同通達 7-7-1)。取壊し費用も当期の費用です。ただし、建物付きの土地を取得して間もなく建物を取り壊した場合には、建物の帳簿価額と取壊し費用を土地の取得価額に含める扱いがあるため、取得からの経過期間が短い物件は事前に税理士へ確認してください。取壊しのための工事契約書と、滅失登記の記録が根拠資料になります。
証憑の保存:処分の事実と日付を示す資料を台帳にひもづける
除却損の損金算入は「廃棄した」という事実が前提です。仕訳だけあって証拠がなければ、「本当に捨てたのか、いつ捨てたのか」に答えられません。処分の種類ごとに残す資料を決めておきます。
| 処分の種類 | 残す資料 | 補足 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物として廃棄 | 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し、業者の請求書・領収書、廃棄前後の写真 | 排出事業者は交付したマニフェストの写しを交付日から、処理終了の写しを受け取った日から、それぞれ5年間保存する義務がある(環境省 排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト) |
| 業者による引取り・回収 | 廃棄証明書または引取証明書、依頼書、写真 | 証明書の発行は発注時に依頼事項へ入れておく |
| 売却 | 売買契約書、自社が発行した請求書(適格請求書)、入金記録 | 車両は譲渡証明書と登録事項等証明書(抹消・移転) |
| 下取り | 注文書の下取り明細、旧車の譲渡書類 | 下取価額が明細に出ている資料を残す |
| 有姿除却 | 使用廃止の稟議書・議事録、現況写真、処分見込価額の見積書 | 要件の判定は税理士に確認 |
| ソフトウエアの除却 | 契約解除の通知、システム切替の記録、アンインストールの記録 | 事業の用に供しなくなった事実を示す |
| 取壊し | 工事契約書・請求書、滅失登記の記録 | 取壊し費用も除却損に含める |
マニフェストは環境法令上の保存義務であって税務のための書類ではありませんが、廃棄の日付と品目が第三者の記録として残るため、除却の証拠として使えます。総務や現場がマニフェストを受け取ったら経理に写しを回す、という流れを決めておくと、経理が廃棄の事実を検知する経路になります。
固定資産台帳の更新手順:行は消さずに処分日と事由を記録する7ステップ
処分の仕訳を起こしたら、台帳も同時に更新します。順番に進めると、仕訳と台帳と申告の3つがずれません。
1. 処分の事実と日付を確定する。 廃棄日・売却日(引渡日)・使用廃止日を、前節の証憑で確定します。日付は処分月までの償却費と、償却資産申告の減少資産の帰属年を決める基準です。12月に廃棄したのに台帳反映が1月にずれると、1月1日現在ではもう存在しない資産を申告することになります(償却資産申告とは)。
2. 枝番・付随資産・一括償却資産を洗い出す。 対象の資産番号で台帳を検索し、資本的支出の枝番、セットで登録した付属機器、リース資産かどうかを確認します。一括償却資産は除却しても償却を続けるので、別の扱いにします。
3. 処分月までの減価償却費を方針どおり計上する。 計上する方針なら月割で計上し、計上しない方針なら期首簿価で処分します。会計ソフトの固定資産機能で除却・売却を登録すると、この選択と仕訳の作成が一度に済みます。
4. 除却・売却の仕訳を起こし、消費税区分を確認する。 売却は税抜の売却代金が課税売上として集計されているかを消費税の集計表で確認。土地は非課税売上、リサイクル預託金は非課税売上、廃棄費用は課税仕入れ。
5. 台帳の行に処分情報を記入し、行は残す。 処分年月日、事由(廃棄・売却・下取り・有姿除却・取壊し)、売却価額、処分時の帳簿価額、除却損または売却損益の金額、証憑の保管場所を記入し、ステータスを「処分済み」にします。行を削除すると、過去の処分が追えなくなり、別表十六や過年度の申告との照合ができなくなります。
6. 会計の固定資産残高と台帳の簿価合計を突き合わせる。 処分後の月次で、貸借対照表の固定資産残高と台帳の期末簿価合計、損益計算書の除却損・売却損益と台帳の処分欄の合計を突合します。ここで差が出るなら、仕訳と台帳のどちらかだけが更新されています。突合の型は残高照合のやり方を参照してください。
7. 申告への反映を記録する。 償却資産申告の減少資産として翌1月に申告する対象であることを台帳の申告区分に反映し、決算時には法人税申告書の別表十六の除却分と台帳が一致することを確認します。申告書の作成は顧問税理士の領域なので、経理の役割は「処分済みの資産が漏れなく抽出できる台帳」を渡すところまでです。
崩れやすいのはステップ1です。経理は現物を見ていないので、マニフェストの写し、廃棄業者の請求書、退職者の備品返却といった経理側で検知できるイベントを除却の起点に組み込み、年1回の現物棚卸で簿価1円の行を中心に台帳と現物を突き合わせます。処分の仕訳が難しいのではなく、処分の事実を拾う仕組みがあるかどうかが台帳の精度を決めます。
処分の記録まで含めて台帳を外に出す
除却・売却の仕訳は1件ずつは数行で終わりますが、枝番の同時除却、一括償却資産の例外、消費税区分、証憑の保管、申告区分の更新まで含めると確認項目は多く、期末にまとめて処理するとどれかが落ちます。
4649経理代行の固定資産管理は、この台帳の側を引き受けるメニューです。請求書や廃棄の資料、既存の台帳をいつものストレージで共有いただき、取得・除却・移動の登録、耐用年数・償却方法の設定、月次・年次の減価償却費の計上をAIが起案し、4649の担当者が確認したうえで台帳に反映します。登録の根拠資料と判断の履歴を残して納品するので、処分の経緯を後からたどれます。台帳が長年整備されていない状態からの現状整理にも対応します。
なお、この記事は一般的な制度と実務の解説です。有姿除却の要件判定、除却損の計上時期、土地と建物の按分、個人事業主の譲渡所得の計算といった個別の判断は税務判断にあたり、法人税申告書や償却資産申告書の作成は税理士の領域です。顧問税理士との分担を確認したうえでご相談ください。
よくある質問
- Q. 期の途中で除却した資産は、除却した月までの減価償却費を計上してから除却するのですか?
- どちらでも当期の費用の合計は変わりません。期首の帳簿価額360,000円の資産を期首から6か月後に廃棄した例なら、6か月分の減価償却費90,000円を計上してから除却すれば「減価償却費90,000円+除却損270,000円」、計上しなければ「除却損360,000円」で、合計はどちらも360,000円です。変わるのは損益計算書の内訳(販売費及び一般管理費か特別損失か)と、固定資産台帳の当期償却額の欄だけです。会計ソフトの固定資産機能は除却登録時にどちらかを選ぶ仕様になっていることが多いので、会社として方針を決めて毎年同じ処理を続けてください。月次で償却費を計上している会社は、除却月まで計上してから除却するほうが月次の損益と台帳が自然につながります。
- Q. 廃棄業者から廃棄証明書をもらえませんでした。除却損は計上できますか?
- 除却損の損金算入は、資産を廃棄した事実が前提です。証明書という特定の様式が法令で決まっているわけではないので、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し、業者の請求書や領収書、廃棄前後の現物の写真、廃棄を決めた稟議書や社内の廃棄記録など、「いつ・何を・どう処分したか」を後から示せる資料を組み合わせて残します。どの資料で足りるか、まだ社内に現物が残っている資産を有姿除却として扱えるかは事実認定を伴う税務判断になるため、計上する前に顧問税理士へ確認してください。以後は、廃棄の発注時に証明書の発行を依頼事項に入れておくと、処分のたびに探し回らずに済みます。
- Q. 個人事業主が事業用の車を売ったときも、固定資産売却益として事業所得に入れるのですか?
- 法人と扱いが違います。個人事業主が事業用の車両や機械などを売却した場合、その損益は原則として事業所得ではなく譲渡所得(総合課税)になります。譲渡価額から取得費(減価償却費相当額を差し引いた金額)と譲渡費用を引き、特別控除を適用して計算し、所有期間が5年を超える長期譲渡所得は2分の1が課税対象です(国税庁タックスアンサー No.3105、No.3152)。一方、取得価額10万円未満で必要経費にした資産や一括償却資産を売却した場合は事業所得または雑所得になります。消費税は、課税事業者であれば法人と同じく売却代金が課税売上です。帳簿上は事業主勘定を使って資産を落とし、所得区分ごとの計算は確定申告で行うため、処理の詳細は顧問税理士に確認してください。