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月次決算

試算表の見方:残高試算表で確認するポイントと異常値の探し方

執筆: 4649編集部

試算表の見方は、借方と貸方の合計が一致しているかの確認では終わりません。会計ソフトで作る試算表は合計が常に一致するので、見るべきは中身です。残高試算表は残高の符号 → 仮勘定の残高 → 前月比・前年同月比で動いた科目 → 損益の率の順に読みます。この順で読むと、記帳漏れ・二重計上・期ずれ・税区分の誤りの大半が、残高照合に入る前の試算表の段階で見つかります。

この記事は、月次で試算表を読む経理担当者と、会計事務所から届く試算表を自分で確認したい経営者に向けて、読む順序、勘定科目別の異常値診断表、損益科目を率で読む方法、そのまま使える試算表チェックシートをまとめました。月次決算全体の流れは月次決算 完全ガイドに、試算表の残高を帳簿の外の証拠と突き合わせる手順は残高照合のやり方に載せています。

試算表とは:3種類の違いと、月次で読むのは残高試算表

試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとの金額を一覧にした表です。種類は3つあります。合計試算表は科目ごとの借方合計と貸方合計を並べたもの、残高試算表は借方と貸方を差し引いた残高だけを並べたもの、合計残高試算表はその両方を1枚に収めたものです。月次で読むのは残高試算表です。残高は貸借対照表と損益計算書の数字そのものなので、残高試算表を読む作業は月次の決算書を読む作業と同じです。合計試算表は、ある科目の当月の動きの総量(売掛金の当月発生額と回収額など)を見たいときに補助的に使います。

手書きの帳簿の時代、試算表の役割は転記の検算でした。元帳への転記を間違えると借方と貸方の合計が崩れるので、合計の一致が帳簿の正しさの目安になった。会計ソフトではこの役割はなくなっています。仕訳を入力した時点で借方と貸方は同額で記録されるため、合計は必ず一致します。一致は科目の選び間違いも、同じ取引の二重入力も、計上漏れも検出しません。試算表の見方が「合計が合っているか」で止まっている会社では、帳簿の誤りが決算まで残ります。

月次で試算表を読む根拠は、会社法第432条が株式会社に「適時に、正確な会計帳簿を作成」することを求めている点にあります。中小企業庁が公表する中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)も総論で、すべての取引について正規の簿記の原則に従い、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成することを求めています。月ごとに試算表を読み、誤りを翌月に持ち越さない運用が、この「適時・正確」を実務のうえで担保します。

残高試算表を読む順序:符号・仮勘定・前月比・率の4ステップ

ステップ1は、残高の符号を見ることです。資産の科目は借方残高、負債と純資産の科目は貸方残高、収益は貸方、費用は借方が正常な姿です。この向きから外れた残高のうち、下に挙げる例外に当たらないものが異常値です。普通預金が貸方残高(マイナス)なら入金の記帳漏れか出金の二重計上、売掛金が貸方残高なら入金の二重消込か前受金の混入、買掛金が借方残高なら支払の二重計上か請求書の計上漏れを疑います。例外は資産・純資産・負債のそれぞれにあります。資産の部では評価勘定と当座貸越です。貸倒引当金と、間接法で計上している減価償却累計額は、対応する債権や固定資産から控除する形で資産の部に置かれるため貸方残高が正常で、貸越契約を結んでいる口座の預金の貸方残高は借越残高、つまり実質的な銀行からの借入なので記帳の誤りではありません(決算では負債の科目に振り替えます)。純資産の部では、繰越利益剰余金の借方残高は累積赤字で、赤字が続いた会社では期中ずっとこの向きのままです。自己株式も、株主資本から控除する形で表示する項目なので借方残高が正常です。負債の部では、法人税等の中間納付額を仮払法人税等ではなく未払法人税等の借方に計上している会社で、決算で確定額と相殺するまでこの科目が借方残高になります。

マイナス記号が付いた科目を会計ソフトの試算表から拾い、いま挙げた例外を外して「説明のつかないマイナス残高」だけを残す。ここまでなら1分で終わります。ここを飛ばして残高照合に入ると、照合の途中で入力誤りが見つかって手戻りになります。

ステップ2は、仮勘定と経過的な科目の残高を見ることです。仮払金・仮受金・立替金・現金過不足は、月末には残高がゼロに近いのが正常です。残高があれば1件ずつ中身と精算予定日を言える状態にします。言えない残高は、記帳の際に科目を決めきれずに置いた仕訳か、精算が止まっている取引です。2か月続けて同じ残高が残っていたら、精算の催促ではなく取引の実態を確認します。仮払金と立替金の使い分けは立替金と仮払金の違いに載せています。

ステップ3は、前月比と前年同月比で動いた科目を拾うことです。当月の残高試算表を単月で見ても、金額が多いか少ないかは分かりません。前月・前年同月の列を横に置き、増減額と増減率の両方で抽出します。基準の例は「増減額が100,000円以上、または増減率が20%以上」で、会社の規模に合わせて決めます。抽出した科目には1行ずつ理由を付け、理由が付かない科目を異常値の候補にします。12か月の推移表が出せる会計ソフトなら、推移表のほうが異常値は見つけやすい。毎月同じ金額が並ぶ固定費の列に、1か月だけ2倍の金額やゼロがあれば、二重計上か未計上です。

ステップ4は、損益を率で読むことです。売上総利益率(粗利率)、人件費率、販管費率を前月・前年同月と比べます。金額は売上に連動して動くので、金額の増減だけでは異常かどうか判断できません。率が2ポイント以上動いたら、理由が言えるまで追います。率の読み方は後の章で数値例を置きます。

勘定科目別の異常値診断表:正常な形と、こう出たら疑う原因

試算表の各科目には「正常な形」があり、そこから外れた形が異常値です。ステップ1〜3で引っかかった科目は、この表に当てて原因の見当を付けてから元帳に入ります。

勘定科目正常な形異常のサイン疑う原因確認する場所
現金借方残高。小口の範囲内貸方残高(マイナス)/数十万円以上の残高が続く入金の記帳漏れか出金の二重計上。残高が大きいまま続くなら、現金で払った経費の記帳漏れか立替精算の未処理現金出納帳と金種表、未精算の領収書
普通預金借方残高。通帳と一致(貸越契約がある口座は借越残高も正常)貸方残高/通帳の月末残高と不一致入金の記帳漏れ、出金の二重計上、月末日振込の未達。当座貸越による借越残高の可能性があるので契約の有無を先に確認する通帳、翌月1営業日の入出金、当座貸越契約の内容
売掛金借方残高。得意先別に請求書控えと一致貸方残高の得意先がある/残高が売上の2か月分を超えて増え続ける入金の二重消込、前受金の混入、請求漏れ、回収遅延得意先別補助科目、請求書控え、入金記録
商品・製品借方残高。月末棚卸と一致期首から残高が動いていない/マイナス月次の棚卸計上をしていない、売上原価の振替漏れ棚卸表、売上原価の振替仕訳
仮払金・立替金残高ゼロが目標2か月以上同じ残高が残る/残高が毎月増える精算の停止、科目未確定の仕訳の置き場になっている、実態が貸付金精算書、仕訳の摘要
前払費用借方残高。契約一覧と一致し、毎月減る残高が減らない/急に増える年払い契約の月割振替漏れ、保険料や保守料の全額費用計上契約一覧、月割の振替仕訳
役員貸付金・役員借入金残高の増減理由が言える両方に残高がある/毎月増える役員の立替精算の未処理、会社経費と個人支出の混在元帳、役員の立替精算書
建物・機械・工具器具備品借方残高。固定資産台帳と一致台帳の取得価額合計と不一致/減価償却累計額が動かない取得・除却の台帳未反映、修繕費との区分誤り、減価償却費の月割未計上固定資産台帳
買掛金・未払金貸方残高。仕入先別に請求書と一致借方残高の仕入先がある/残高が仕入の2か月分を超える支払の二重計上、請求書の計上漏れ、締め日のずれ仕入先別補助科目、請求書
預り金貸方残高。給与の控除額から納付額を引いた残り貸方残高が給与1か月分の控除額を大きく超える/借方残高納付の記帳漏れ、控除額の計上漏れ、納期の特例による積み上がり給与台帳、納付書
仮払消費税・仮受消費税税抜経理なら仮受が標準税率の課税売上のおおむね10%、仮払が標準税率の課税仕入のおおむね10%標準税率の課税売上の10%と仮受消費税が大きくずれる税区分の入力誤り、軽減税率の対象の売上の混入、免税・非課税取引の混入、税込と税抜の混在税区分別の集計表
借入金貸方残高。返済予定表と一致返済予定表より残高が少なく、差が毎月広がる返済額を元本と利息に分けていない返済予定表
売上高前月・前年同月と比べて増減理由が言える月末最終日に集中/翌月初に前月分が入る期ずれ、請求書の発行日と納品日のずれ請求書の発行日と納品日
仕入高・外注費売上との比率が安定売上が動いていないのに仕入だけ増減する期ずれ、二重計上、棚卸未計上納品書、請求書、棚卸表
地代家賃・保険料・保守料毎月同額1か月だけ2倍またはゼロ二重計上、未計上、年払いの全額費用計上契約一覧、口座振替の明細
減価償却費毎月同額(取得・除却の月を除く)ゼロの月がある/年1回だけ計上月割計上をしていない固定資産台帳の月割計算
雑費・雑損失・雑収入少額残高が増え続ける/1件で大きな金額科目を決めきれない仕訳の置き場、原因不明の差額の処理元帳の各仕訳と摘要

売掛金の「2か月分」は目安であり、支払条件が末締め翌々月末の得意先が多ければ正常でも2か月分を超えます。自社の平均的な回収サイトから基準を決めてください。預り金の「納期の特例による積み上がり」は、国税庁タックスアンサー No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」のとおり、給与の支給人員が常時10人未満の会社が納期の特例の承認を受けている場合、源泉所得税を1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日にまとめて納付するため、預り金の残高に最大6か月分が積み上がるのが正常な状態です。この会社では預り金の残高が大きいこと自体は異常値ではなく、7月と1月に残高が減っていないことが異常値になります。

役員貸付金が毎月増える会社では、会社の経費と役員個人の支出が帳簿の上で混ざっていることが多い。この残高は帳簿の問題であると同時に税務上の論点にもなります。国税庁タックスアンサー No.2606「金銭を貸し付けたとき」は、役員や使用人に無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合の利息の取扱いを示しており、残高が増えてきたら顧問税理士に扱いを確認してください。

損益科目は率で読む:粗利率・固定費・月割の抜け

損益科目の異常値は、金額ではなく率に出ます。数字で見ます。

項目前月当月
売上高8,000,000円8,200,000円
売上原価5,440,000円6,150,000円
売上総利益2,560,000円2,050,000円
売上総利益率32.0%25.0%

売上は2.5%増えたのに、粗利率が7ポイント落ちています。単価を下げた、原価の高い商品の構成比が上がった、という営業側の理由で7ポイントが動くことはまれで、まず帳簿を疑います。候補は3つです。1つ目は仕入の期ずれで、翌月に納品される商品の請求書を当月の仕入に計上した、または前月分の仕入の請求書が当月に届いて当月の仕入に入った。2つ目は棚卸の未計上で、月末在庫を売上原価から差し引いていない。3つ目は税込と税抜の混在で、売上は税抜、仕入の一部が税込で入っている。仕入先別の当月仕入額を前月と並べ、1社だけ増えていれば1つ目、全体的に増えていれば2つ目か3つ目です。期ずれの起き方と月次での防ぎ方は期ずれとはに載せています。

固定費は、毎月同額であることを前提に読みます。地代家賃が前月の2倍なら口座振替と請求書の両方から起票した二重計上、ゼロなら未計上です。年払いの保険料や保守料を支払月に全額費用にしている会社では、その月だけ販管費率が跳ね、他の月は実態より低く出ます。年払いの契約は前払費用に計上して毎月月割で振り替える。この手順は経過勘定の仕訳に載せています。減価償却費も同じで、決算で年1回だけ計上する会社の月次の利益は、11か月間は減価償却費の分だけ過大に出ています。固定資産台帳から年間の償却費を12で割り、毎月計上します。計算方法は減価償却の計算方法を参照してください。

消費税の科目も率で読めます。国税庁タックスアンサー No.6375「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」のとおり、税抜経理方式では課税売上に係る消費税等を仮受消費税等、課税仕入に係る消費税等を仮払消費税等として記帳します。したがって標準税率の取引だけなら、仮受消費税は課税売上高(税抜)のおおむね10%、仮払消費税は課税仕入高(税抜)のおおむね10%になります。軽減税率の対象取引がなく、売上がすべて国内の標準税率の課税取引である会社で、売上高8,200,000円に対して仮受消費税が700,000円なら、10%の820,000円から120,000円足りません。1,200,000円分の売上が非課税か不課税か免税の税区分で入力されている計算で、その取引が本当に課税対象外かを確認します。軽減税率の対象の売上がある会社では、その分だけ仮受消費税が売上高の10%を下回るため、下回った額がそのまま税区分の誤りを意味するわけではありません。軽減税率の対象の売上や輸出売上、非課税売上がある会社は、標準税率の課税売上だけを分母にして比べてください。輸出免税の売上は国税庁タックスアンサー No.6405「課税売上割合の計算方法」のとおり消費税法上の課税売上に含まれるので、分母から外します。税区分の判定は消費税の税区分の判定にまとめています。

試算表チェックシート(テンプレート)

次の表を毎月の締めで使います。表計算ソフトに貼り、「結果」と「対応」の列を埋めて残高照合表と一緒に保管してください。判定基準の金額と率は自社の規模に合わせて書き換えます。

#確認項目見る場所判定基準結果対応
1資産科目に説明のつかない貸方残高がない残高試算表の資産の部説明のつかないマイナス残高が0件(貸倒引当金・減価償却累計額と、当座貸越による借越残高は除く)
2負債・純資産の科目に説明のつかない借方残高がない残高試算表の負債の部・純資産の部説明のつかない借方残高が0件(累積赤字による繰越利益剰余金のマイナス、自己株式、未払法人税等の借方に計上した中間納付額は除く)
3仮払金・仮受金・立替金・現金過不足の残高残高試算表残高ゼロ、または全件の中身と精算予定日が言える
4役員貸付金・役員借入金の増減前月比増減の理由が言える。両方に残高がない
5売掛金・買掛金の補助科目に逆残高がない補助科目別残高貸方残高の得意先・借方残高の仕入先が0件
6預金残高が通帳と一致残高照合表差額の内訳が未達だけ
7前月比で動いた科目に理由がある前月比・前年同月比増減額100,000円以上または増減率20%以上の科目すべてに理由がある
8固定費が毎月同額12か月推移表地代家賃・保険料・保守料・リース料に2倍またはゼロの月がない
9減価償却費を月割計上した損益科目固定資産台帳の年間償却費÷12と一致
10前払費用・未払費用の月割を振り替えた契約一覧年払い契約の月割仕訳が全件入っている
11売上総利益率が前月・前年同月から2ポイント以内損益の率超えていれば理由が言える
12仮受消費税が標準税率の課税売上高の約10%消費税科目差額が説明できる(軽減税率・非課税・免税の内訳)
13預り金の残高が給与台帳と整合給与台帳・納付書控除累計−納付累計=残高
14雑費・雑損失・雑収入の内訳元帳1件ずつ内容が言える

運用の決まりは3つです。「結果」は空欄にせず、問題なしでも「OK」と書く。基準を超えた項目は理由を「対応」に書き、仕訳を直した場合は仕訳番号を残す。理由が書けない項目は翌月に持ち越さず、締めの前に元帳までたどる。14項目のうち1〜5は残高照合の前に、6〜14は残高照合と調整仕訳の後に確認します。6は残高照合表を作ってから埋める項目です。

異常値を見つけた後:元帳から仕訳、証憑へたどり、修正は当月で入れる

異常値の原因は、試算表の上では決まりません。試算表で科目を特定したら、総勘定元帳でその科目の当月の仕訳を日付順に見て、疑わしい仕訳の証憑(請求書・領収書・通帳の明細)に当たります。この順を逆にして証憑の束から探し始めると、時間が溶けます。

元帳で見つけやすい形があります。同じ日付・同じ金額の仕訳が2件並んでいれば二重計上、月末最終日に大きな金額が集中していれば期ずれ、摘要が空欄の仕訳が多ければ科目未確定の置き場です。残高の差額が9で割り切れるなら、手入力の数字の入れ替えや桁の誤りを最初に疑います。45,600円を46,500円と入力すれば差額900円、12,000円を1,200円と桁を間違えれば差額10,800円で、どちらも9の倍数です。二重計上が起きる6つのパターンと月次での検索方法は仕訳の二重計上を防ぐ方法に載せています。

修正仕訳は当月の日付で入れ、締めた前月の仕訳は動かしません。前月分の誤りでも当月の日付で修正し、摘要に「○月分の修正」と書く。締めた月の数字を後から動かすと、報告済みの月次レポートと試算表が食い違い、どちらが正しいかを毎回確認することになります。期中に見つけた誤りは、このやり方で当月に取り込めば足ります。

試算表で見つかる異常値のうち、役員貸付金の利息、仮払金の実態が貸付金である場合の扱い、雑損失で処理した差額の損金性は、会計の問題であると同時に税務の問題です。試算表の段階で見つけて、顧問税理士に早めに相談してください。決算で見つかるより、月次で見つかるほうが選べる対応が多い。

誰が試算表を読むか:事務所の試算表を会社が読む分担

顧問の会計事務所が月次の試算表まで作っている会社では、事務所は税務の観点で科目や処理を確認し、申告と税務判断を担います。その試算表を会社が読まなくてよい、ということにはなりません。前月比で動いた科目の理由、仮払金の中身、売掛金が請求書控えと合っているか。これらは取引を知っている会社側にしか答えられず、事務所は会社の答えを前提に処理を確定させます。会社がチェックシートの7・11・12・14を埋め、理由が付かない項目を事務所に質問する形にすると、事務所の確認も速くなります。試算表が届くのが遅い場合、原因は会社から事務所へ資料が渡る日にあることがほとんどで、資料を渡す日を固定するのが会社側でできる最も効く改善です。

記帳を社内で行っている会社で、試算表を読んだ時点で異常値が毎月10件以上出るなら、試算表の読み方ではなく記帳の精度に原因があります。異常値の候補は多くが入口の仕訳で決まるからです。記帳と仕訳の確認を経理代行に切り出し、社内は試算表を読んで理由を付ける作業に集中する分担があります。当社の4649経理代行の記帳代行は、仕訳一行ごとに根拠と証憑を添えて納品し、仕訳チェックは勘定科目・税区分・二重計上・計上漏れ・期ずれの観点で全仕訳を確認して修正が必要な仕訳を根拠とあわせて一覧で報告するので、試算表に異常値が出たときに元の証憑を探し直す時間が減ります。顧問契約を変える話ではなく、締めの前工程の担い手を分ける話として、事務所に相談したうえで決めてください。


試算表の見方は、合計の一致ではなく、残高の符号・仮勘定の残高・前月比で動いた科目・損益の率を順に読むことです。逆向きの残高は例外に当たらないものをその場で直し、仮勘定は中身を言える状態にし、動いた科目には理由を付け、粗利率が2ポイント動いたら帳簿を疑う。14項目のチェックシートを毎月埋める運用を3か月続ければ、決算で初めて見つかる誤りはほぼなくなります。

なお、役員貸付金の利息や雑損失の損金性など、個別の税務判断は税理士の業務です。自社のケースで迷うときは、顧問税理士にご相談ください。

よくある質問

Q. 試算表の借方と貸方の合計が一致していれば、帳簿は正しいと考えてよいですか?
いいえ。会計ソフトは仕訳を入力した時点で借方と貸方を同額で記録するので、合計は常に一致します。一致は「転記の計算が合っている」ことしか示さず、科目の選び間違い、同じ取引の二重入力、計上漏れ、月をまたいだ期ずれは合計を崩しません。試算表で見るべきは合計ではなく中身で、資産科目が貸方残高になっていないか、仮払金や仮受金に残高が残っていないか、前月や前年同月と比べて説明のつかない増減がないか、粗利率が動いていないか、の順に読みます。
Q. 試算表は月のどのタイミングで見るのがよいですか?
2回に分けて見ます。1回目は記帳が終わった直後で、残高の符号と仮勘定の残高を確認し、残高照合と調整仕訳に入る前に明らかな入力誤りを潰します。2回目は残高照合と調整仕訳が終わった後で、前月比・前年同月比と損益の率を読み、月次レポートに載せる数字として確定させます。1回目を省くと、照合の途中で入力誤りが見つかって手戻りが増えます。2回目を省くと、照合は合っているのに粗利率が動いている、といった締めの精度の問題がレポートまで持ち越されます。
Q. 顧問の会計事務所から毎月試算表が届きます。会社側では何を見ればよいですか?
事務所は税務の観点で科目や処理を確認してくれる存在で、申告と税務判断は事務所の領域です。一方、残高が動いた理由を知っているのは会社側なので、会社が見るのは「説明がつくか」です。前月比で動いた科目に自分で理由を付けられるか、仮払金や立替金の残高の中身が言えるか、売掛金の残高が請求書の控えと合っているか。理由の付かない増減があれば、仕訳の摘要や証憑を添えて事務所に質問します。事務所に届く資料が遅れると試算表も遅れるので、資料を渡す日を固定するのが会社側でできる最も効く改善です。